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「グループF突破のキーマンは佐野海舟」「盛り上げ役は菅原由勢」元日本代表・安田理大氏が見た森保ジャパン “鬼メンタル” の26人

スポーツ 記事投稿日:2026.06.13 06:00 最終更新日:2026.06.13 06:29

「グループF突破のキーマンは佐野海舟」「盛り上げ役は菅原由勢」元日本代表・安田理大氏が見た森保ジャパン “鬼メンタル” の26人

右足一本で局面を変えられるサイドバックの菅原由勢(左)と安田理大氏。明るい性格も魅力で、チームを盛り上げる。壮行試合のアイスランド戦では決勝弾をアシスト(安田氏のインスタグラムより)

 

「2人ともメンタルが振り切っているというか、ギラギラ感があってめっちゃいい。僕も若いころは “調子乗り世代” などと言われ、ホンマに生意気な発言もしていましたが、そういう選手がいてもいいじゃないですか。

 

 正直、メンバー入りするのは2人のどちらか1人かなと思っていましたが、2人とも選ばれた。彼らが “ラッキーボーイ” になるかもしれません」

 

 今月12日(日本時間)に開幕するサッカー北中米W杯に臨む森保ジャパンのメンバー26人の顔ぶれを見ながらそう笑うのは、元日本代表DFの安田理大(みちひろ)氏(38)だ。

 

 ガンバ大阪やオランダのフィテッセなどでプレーし、2022年限りで現役を引退。現在は解説者として、ブンデスリーガ中継などに出演し、欧州組も数多く取材してきた。今大会ではDAZNのリポーターとして日本代表に密着する予定だという。

 

■高級寿司店で大トロをお代わりしまくり!

 

 今回はそんな安田氏に、森保ジャパンの気になる選手の特徴や素顔について聞いた。

 

 冒頭で “ラッキーボーイ候補” に挙げたのが、後藤啓介(21、シント=トロイデンVV)と塩貝健人(21、ヴォルフスブルク)の2人である。

 

「後藤を取材したのは、まだアンデルレヒトのセカンドチームにいた昨季ですが、そのときから『代表に呼んでもらえば、ゴールを決めるのは簡単です!』と言っていましたからね(笑)。

 

『代表選手はみんなうまいから、ゴール前で待っていたら点を取れるじゃないですか』と言うんです。正直、『日本代表を舐めるなよ!』と思いましたが、逆にそこまで言われると気持ちいいというか。

 

 今季シント=トロイデンVVに期限付き移籍し、11ゴールを挙げるなどブレイクしましたが、プレーオフで古巣のアンデルレヒトからゴールを挙げたときにも思いっ切りガッツポーズをしてネットで話題になっていました。

 

 古巣からゴールしたときは、派手に喜ばないのが暗黙のルール。そういう気の強さも、ストライカー向きだと思います」

 

 森保ジャパンの1トップは、今季オランダ1部で25点を挙げた上田綺世(あやせ・27、フェイエノールト)が軸になる。ただ、191cmの長身とポストプレーを武器にする後藤も楽しみな存在。安田氏は取材時のこんな秘話も明かしてくれた。

 

「取材の後、食事に行こうとなりました。僕はベルギーに土地勘がなかったので、店の予約は後藤にまかせました。そうしたら、めっちゃ高級寿司店で大トロをお代わりしまくってました(笑)。

 

 先輩の僕が払うわけですから、会計は気にしなくていいんですよ。でも、普通はちょっと遠慮して、街のビストロとかに行きますよね。そのメンタルは、見習いたいくらいです(苦笑)」

 

 一方の塩貝についても、安田氏は「絶対変わっていますよ」と笑う。

 

 昨季前半は、オランダ1部NECナイメヘンでおもに途中出場ながら、リーグ戦12試合7ゴールと結果を出し、今年1月にドイツのヴォルフスブルクへ移籍。代表デビュー戦となった3月のスコットランド戦でも、終盤に途中出場すると、決勝弾をアシストするなどインパクトを残した。

 

「彼がまだNECにいたころ練習を観に行ったのですが、そのときからフィジカルは強いし、スピードがあると感じていました。後藤と一緒でギラギラしていて、『将来の夢はレアル・マドリードで7番を背負うこと』とあっさり言いますからね。

 

 レアルの7番といえば、ラウールやクリスティアーノ・ロナウドら、世界的な選手が背負ってきた特別な番号です。普通はおこがましくて言えないですよ。

 

 ドイツ移籍後は出番が限られていましたが、バイエルン戦では短い時間でも堂々としたプレーが光っていました。限られた出場時間で、結果を出して代表入りしたという意味でも、流れを変える “ジョーカー” として何かやってくれそうな気配を感じます」

 

 かつての日本代表には、カズ(三浦知良)に始まり、中田英寿、本田圭佑と、時代ごとにメディアが注目するスター選手がいた。だが、現代表は誰か一人がフォーカスされるわけではなく、安田氏は「ほぼ全員が欧州でプレーしているし、個性の強い選手の集まり」と評した。

 

■スタバでお茶のはずが5分たたず撮影会に

 

 そんななか、安田氏がチームの盛り上げ役として名前を挙げたのが、菅原由勢(ゆきなり・25、ブレーメン)と久保建英(たけふさ・25、レアル・ソシエダ)だ。

 

「メンバー発表の当日、僕は会場で取材していましたが、名前が呼ばれた直後に由勢から『やったりました!』とメールが来ました。メンバー入りするかどうか、相当ドキドキしていたのでしょう。3バックが基本のチームで、サイドバックの由勢は出番が限られるかもしれない。それでも、森保一(はじめ)監督は彼のパーソナリティを買ったのでしょう。

 

 久保くんは幼少期からスペインで生活していましたし、 “ラテンのノリ” というか。なによりすごいのは、ひとまわり以上も年上の大先輩である(長友)佑都(39、FC東京)を普通にイジれるところ。

 

 僕が若いころでいえば、川口能活さんや中澤佑二さんをイジるようなもの。絶対にできなかった(笑)。でも、久保くんはグイグイ突っ込むし、佑都もそれを受け止められる。そういう関係性があるのは、今の代表のいい空気だと思います」

 

 強烈な個を持つ選手として、堂安律(27、フランクフルト)も外せない。安田氏と同じガンバ大阪の下部組織出身で、前回のカタール大会では2得点。大舞台での勝負強さは折紙つきだ。プライベートでも親交のある安田氏は、大きな期待を寄せている。

 

「律は感情のまま行動するタイプに見られがちですが、じつはめちゃくちゃ大人です。フランクフルトでは、本来とは違うポジションで起用されることもありますが、不満を言わず与えられた役割をこなしている。まわりが見えているし、自分をコントロールできる選手です。

 

 フライブルク時代にスタバで一緒にお茶をしていたら、5分もたたないうちに地元ファンに囲まれたことがありました。彼は気さくで人気者。写真を撮ってくれという人が途切れないので、僕はずっとカメラマン役でした(笑)」

 

■後輩からもイジられる偉大な愛されキャラ

 

 長友の1学年下の安田氏はかつて、五輪代表やA代表で同じ左サイドバックを争った。

 

「私生活を含め、ストイックなまでにサッカーにかける情熱を見せられたら、『これは勝てない』と思いました。それでいて、久保くんにイジられている話をしましたが、後輩からも愛されるキャラ。

 

 今大会は出番が少ないかもしれませんが、森保監督はチームのメンターとしても期待しているはず。今大会から出場チーム数が増え、試合間隔も長くなるだけに、彼のような存在が求められるでしょう」

 

 ガンバ大阪繋がりでは、鎌田大地(29、クリスタル・パレス)や中村敬斗(25、スタッド・ランス)も後輩にあたる。

 

「ガンバのジュニアユース出身の鎌田は、僕がサガン鳥栖でプレーしていたころに練習生として来ていたことがありました。当時は高校3年で、卒業後にプロ入りを目指していたわけですから、普通なら大先輩の僕に『よろしくお願いします!』とか挨拶があってもいいですよね。

 

 でも、じつはちゃんと話したことがないんです(笑)。練習参加のときも、プレーがそんなに目立っていたわけではなかったですし、正直やる気があるのかないのかわからない、ふてぶてしいなという印象でした(笑)」

 

 ところが翌2015年、鎌田は鳥栖に加入すると、一気に評価を高めていった。

 

「僕は1年で移籍したので、鳥栖の選手に『その後、鎌田はどう?』って聞いたんです。そうしたら『僕らが知っている鎌田じゃないです。めちゃくちゃうまいです!』って(笑)。そこで本気を出したのでしょうね。だから、その後に欧州で活躍し、日本代表の主力になったのも今となれば納得です。W杯の取材で会ったら? 僕のほうから挨拶に行きますよ。うるさい先輩だと思われたくないので(笑)」

 

■オランダ人は日本を舐めていますね(笑)

 

 グループFで、森保ジャパンはオランダ、チュニジア、スウェーデンと同居する。初戦の相手は、グループ最強といわれるオランダ。安田氏がかつてプレーした国でもある。

 

「4月に取材に行ってきましたが、オランダ人は日本を舐めていますね(笑)。『一緒にグループリーグを突破しよう』なんて言っていましたが、それって自分たちは突破する前提じゃないですか。

 

 過去3度の準優勝という歴史を考えれば、そう思うのもわかりますが、オランダ人は楽観的なので、そこに隙があるような気がします。個々にすごい選手はいますが、組織的かといわれたら全然そうじゃない。森保ジャパンは、オランダに勝つ力は十分にあると思います。

 

 ただ、アフリカ予選無敗のチュニジア、ギェケレシュとイサクというワールドクラスの2トップを擁して欧州予選のプレーオフを勝ち上がってきたスウェーデンも力がある。

 

 ほかのグループと比較しても簡単ではないですし、3連勝してもおかしくないと思いつつ、一歩間違えれば3連敗もあり得る。それくらい厳しいグループだということは言っておきたいです」

 

 では、森保ジャパンが勝ち上がるためのキーマンは誰か。安田氏が名前を挙げたのが佐野海舟(かいしゅう・25、マインツ)だ。

 

「1年を通して試合に出ていれば、どうしても調子の悪い試合が何試合かはあるものです。でも、今季の佐野はダメな試合がひとつもなかった。ほぼすべての試合に出場し、怪我もなかったですしね。ボランチとして相手のボールを奪うだけでなく、奪ったボールを前につけたり、自分で運んだりしてチャンスに繋げる能力はワールドクラス。

 

 これまでは、主将の遠藤航(わたる・33、リバプール)が一番手というイメージもありましたが、今季の活躍で、その序列を変えるところまで来たと思います。日本が勝ち上がるためには、佐野の活躍は不可欠です」

 

 安田氏は、取材などを通じて多くの選手と接してきた一方で、森保監督とも浅からぬ縁がある。

 

「僕がアンダー世代の代表に入っていたころ、森保さんはコーチだったんです。当時は僕らも若かったので、 “ポイチ” なんてイジっていたこともありますが、今はもう無理ですね(笑)。代表監督になって、明らかにオーラが出ていますから。

 

 昔から本当に真面目な人で、そこはずっと変わらない。自分の芯はブレないけど、選手の意見もちゃんと聞ける。あらためて考えても、森保さん以上の日本代表監督はいないんじゃないかと思うくらいですよね」

 

 選手としてW杯に出場することはできなかった。だからこそ、リポーターとして現地に向かう今大会は、安田氏にとって特別なものになる。

 

「まさか、引退してから違う形でW杯に行けるとは思っていなかったので、めちゃくちゃ嬉しいです。現役のころは代表メンバーを見て、 “俺のほうができる” と思うこともありました。

 

 でも今は、選ばれた26人全員をリスペクトしているし、本当にサポーターと同じ気持ちで、全力で応援したい。日本代表の結果に、僕の仕事の未来もかかっていますからね(笑)」

 

 ただ、真面目にリポートするだけで終わらないのが安田氏らしいところだ。

 

「どうやったらバズるかずっと考えています。ピッチリポーターなので、クリアボールが顔面に直撃したら絶対バズるじゃないですか。何かおいしい出来事がないかなと(笑)。そのためにも、森保さんも言っているとおり、凡事徹底して頑張ります」

 

 安田氏の現地リポートも、 “日の丸戦士” たちの戦いぶりを追う楽しみのひとつとなりそうだ。

 

取材&文・栗原正夫

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出典元: 週刊FLASH 2026年6月23日・30日合併号

著者: 『FLASH』編集部

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