
W杯サッカー日本代表・鈴木淳之介選手が履く「DELSALMA-4 LE」(右)を持つSVOLMEの谷川洋二郎氏(写真・木村哲夫)
ついに開幕したサッカーW杯北中米大会。日本代表は6月15日(日本時間)に準優勝3回の強豪オランダと対戦し、2度リードされながらも追いつき2-2の引き分けに持ち込んだ。
この試合でベンチに入った日本代表DF・鈴木淳之介選手が履いていたのは、日本の家紋を模したというブランドマークが入った見慣れぬスパイク。従業員数わずか14人のスポーツメーカー「SVOLME(スボルメ)」(東京・品川区)が販売する「DELSALMA-4 LE」だ。アディダスやナイキ、プーマなど世界ブランドのスパイクを使用する代表選手が多いなか、鈴木選手はスボルメのスパイクを履き続けており、同社にとっても初のW杯デビューになる。営業本部長でスパイクの開発にも携わってきた谷川洋二郎氏はこう話す。
「鈴木選手がW杯代表に選出された時は本当にうれしかったです。デンマークでも試合に出始めてからはもうとんとん拍子で選ばれるのではないかという感覚はありました。凄く高揚感がありますよ。単にうちのスパイクを履いてくれているというより、高校時代からサポートしてきた選手がW杯代表に選ばれた。日本にはこんないい選手がいるんだということを知ってもらいたいという思いもあります」
鈴木選手は、帝京大学可児高校から2022年に湘南ベルマーレに加入、センターバックとして活躍したのち、2025年7月にデンマークのFCコペンハーゲンに移籍していた。2025年にはW杯アジア3次予選で日本代表に初選出され、W杯北中米大会の代表に改めて選出された。
「鈴木選手が高校3年時の全国高校サッカー選手権に出場したときからスボルメのスパイクを履いてもらっています。もともとは同校のサッカーウエアのサポートをしていて、いい選手がいるということで履いてもらうことにしました。それ以来5年ぐらい履いてもらっています。鈴木選手のスパイクは、2017年に発売した“素足感覚”を重視したDELSALMA-4 LEです。スパイクの前面にカンガルーの皮を使用していて、天然皮革を使った足なじみのよさを鈴木選手も気に入ってくれています。鈴木選手用にスタッド部分を固定と交換式のミックス型に変更していますが、そのほかの部分は市販モデルと変わっていません」(谷川氏、以下「 」内同)
サッカースパイクは巨大スポーツメーカーがしのぎを削る世界だ。いわゆるレッドオーシャンに、社員数14名のスボルメはなぜ参入したのか?
「2006年に会社を立ち上げ、3年目からスパイクの開発をスタートさせました。当時は日本人の足に合ったスパイクが少なくなっていたということもあり、“日本人の足に合った”スパイクを作ろうと思ったんです。こだわったのは、足になじむ素材として天然皮革を使用することですね。さらに、スパイクの底のスタッドは丸型にしました。最近は尖ったものやスピードを重視するブレード型のスタッドが主流ですが、安定性があり日本人にはベーシックな丸型にしました。その形を変えずにスパイク作りを続けていることは強みだと思います」
14人の社員のうち、スパイクの開発には代表を含め6人が関わっているという。
「開発部門の社員は皆、営業も兼ねていますよ。皆ハイブリッドで仕事をしています。1人で何役もやらないとこの業界ではやっていけないですね」
晴れてW杯に自社のスパイクをデビューさせることができ、今後は世界に向けてブランドを発信するかといえばそうではないという。
「確かにW杯は世界にブランドをアピールするチャンスでしょうが、世界に打って出る体力は私たちにはないですよ。まずは国内で、小中高の学生の皆さんに履いてもらえるような取り組みをしていかないといけませんね」
現在、J1からJ3のサッカー選手のうち5人の選手が同社のスパイクを履いているという。
「鈴木選手が、W杯で活躍してくれたら、あのスパイクはどこのだ? ということになる。ですので、ぜひ活躍してもらいたいです。まさに我々としても一生に一度あるかないかのことですからね」
オランダ戦では残念ながら出場機会がなかった鈴木選手。次戦以降、14名の従業員の思いが詰まったスパイクで大暴れするはずだ。
写真・木村哲夫
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