
W杯オランダ戦の89分、コーナーキックから小川航基が放ったヘディングシュートが前方にいた鎌田大地に当たってゴールした(写真・JMPA)
6月14日(日本時間15日)に米国・ダラスでおこなわれた、日本にとってサッカーワールドカップの初戦であるオランダ戦。1点ビハインドの後半44分、伊東純也(ヘンク)のコーナーキックから競り合った小川航基(NECナイメヘン)のヘディングシュートが鎌田大地(クリスタル・パレス)の頭に当たり、コースが変わってゴールとなった。“ヘディングアシスト”が、劇的なドローに導いた。
「試合を観て、スタッフも選手たちもたいへん、歓喜しています。とくに選手たちは、学校に行ってから練習だったので、その日はもう小川の話でもちきりでした。公式記録はアシストになってしまいましたけど、非常に彼らしいプレーだったと思います」と話すのは、小川が中学校の3年間在籍した、神奈川県にある大豆戸(まめど)FCの西川出理事だ。
「取材の方が何社かグラウンドにいらっしゃったので、選手たちも大豆戸の先輩がW杯で本当にゴールを決めたんだと、現実味を帯びたんだと思います。印象的だったのは、インタビューを受けた何人かの選手の受け答えです。いままでは、夢を聞かれると『プロサッカー選手になる』と言っていたんですが、『日本代表になる』と言っていたんです。日本代表がすごく身近に感じられたんでしょうね。小川の活躍は、とても影響力が大きいと思っています」
大豆戸FCは“サッカー以外のこと”をやるクラブでもある。スキーに行ったり、キャンプに行ったり、運動会や宝探しイベントなども開催される。東日本大震災の被災地への訪問は、12年間、続けている。小川がそんな大豆戸FCに抱く思いはいまでも熱い。大豆戸FCの法人化20周年の記念誌(2024年)に、こんな思いを寄せている。
《これだけたくさんの人に愛されるクラブは、ほかにないと思います。そんなクラブに所属して成長させてもらえたことを非常に感謝していますし、誇りに思います。
僕自身を振り返ってみても中学時代の育成は将来への大きな別れ道になる年代です。サッカースキルはもちろんですが、大豆戸FCにはサッカーだけでなく、人間的に大きく成長させてもらいました。大豆戸FCの『人としての成長』にフォーカスした育成方針が非常に好きですし、何よりサッカーを楽しませてもらいました。たくさんの子供に大豆戸FCへの所属を心から勧めたい! そんなクラブです》(一部抜粋)
小川は記念誌に記した思いを実行しており、“大豆戸愛”は変わっていない。
「彼が横浜FCにいたとき、クラブの選手が試合のボールボーイをやったんです。そのときは、試合後にわざわざ来てくれて、みんなで一緒に写真を撮りました。そういう気遣いができるのが小川なんです。サイン入りのユニホームを送ってくれたりもしますしね。
エリートではなく“雑草”だから、非常に人間力が高いんです。うちのクラブが大切にしている、人としての成長を大事にしてくれていると思います」(末本亮太代表)
同クラブには、鈴木唯人(フライブルク)も小学1年生の終わりから2年まで所属していた。「当時から足が速く、スピードに乗ったドリブル突破からのシュートが持ち味だった」と、指導していた西川さんは振り返りながら、こうエールを送る。
「代表のなかでけが人が増えているし、スケジュール的に考えても唯人が出場する機会はあるのでは、と思っているので、期待しています」
クラブから飛び立ったプロサッカー選手は13人。グラウンドで練習をする小さな選手たちは、身近で偉大な先輩たちを追いかけ、今日もボールを蹴る。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







