
大谷翔平(写真・桑原靖)
ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平が先発した6月24日(日本時間25日)のツインズ戦。この日はフォーシームが今季最高と思えるほどのキレを見せていた。それゆえに相棒のダルトン・ラッシング捕手にとっては、捕球しづらい球だったのかもしれない。
事件は2回裏に起こった。ヒット3本を連ねられ、1死満塁のピンチ。ここで大谷が投じた今季最速164kmの内角球を捕球ミス。パスボールで1-1の同点とされた。このとき、ラッシングは口をとがらせ不満の表情を見せた。すると、マウンドに来たまだメジャー2年めの“相棒”に対し、大谷は厳しい表情を浮かべ、キャッチャーマスクに顔をつけるほどの距離でまくし立てているような様子が中継に映ったのだ。その光景に、思わずマーク・プライアー投手コーチが駆け付けたほどだった。
さらに、3球めには、大谷がABSチャレンジ(球審の判定に異議がある際、投手、捕手、打者だけが利用を申請できるチャレンジシステム)を要求。ところが、ラッシングは首を横に振り、「低い」とジェスチャーして否定した。
「この時点で、2人の呼吸がまったく合っていなかったことは確かです。また、大谷はMLB入りして以降、喜怒哀楽のうち、喜びなどは素直に表現していましたが、怒りについては抑えていて、ほとんど見せることがなかった。それだけにマウンドに来たラッシングに対し、視線をまったく逸らさずに早口でまくし立てた様に恐怖を覚えたファンは多くいたようです」(現地記者)
この出来事に驚いたのはファンだけではなかった。2回裏が終わると、落ち込むラッシングに「気にするな」とばかりに多くの選手が体をタッチする。そしてチームリーダーのフレディ・フリーマン一塁手が隣に座って長い時間なだめていた。最後はデーブ・ロバーツ監督が隣に座って肩を組み、落ち着かせる姿が印象的だった。その後、ベンチで一人になったラッシングは、両掌で何度も頭を叩き続けた。
経験も実績もないラッシングに、大谷が指導することは当然のことだ。ただ、“公開説教”に対して疑問を呈する人は多い。
「元エンゼルス監督であり、大谷も“恩師”と認めるジョー・マドン氏もその一人ですね。一連の出来事については『見苦しい』と一喝。続けて『この問題の解決策はショウヘイとダルトンを一室に集めること。投手コーチや監督も同席して、そこでじっくり話し合えばいい。それだけのこと。これ以上(周囲が事態を)複雑にする必要はない』と語っています。マドン氏も元捕手だけに、ラッシングの気持ちも分かるようです」(前出・記者)
また、6月26日(同27日)にNHKBSの解説を務めた元ロッテ監督の伊東勤氏は、大谷の気持ちも理解しながら、現役時代は名捕手として活躍した同氏ならではの意見をこう述べた。
「いろいろ注文はあるんでしょうけど、やるならベンチの裏で、人が見ていないところでやってほしいです。本人も一番わかっていますし、ここのところ(正捕手の)ウィル・スミスがいないなかでラッシングもがんばってると思うので」
ラッシングは6月20日(同21日)から5試合連続でノーヒット。明らかにメンタルをやられているようだったが、27日(同28日)のサンディエゴ・パドレス戦では15打席ぶり快音。何かを吹っ切るようにしてグランドを一周するラッシングを、大谷は満面の笑みで迎えた。
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