
サッカー北中米W杯準決勝でドリブルするフランス代表FWキリアン・エムバペ(写真・共同通信)
サッカー北中米W杯準決勝の第1試合が7月14日(日本時間15日)におこなわれ、FIFAランキング2位のスペインが同3位のフランスを2−0で下した。これでスペインは、イタリアが持つ公式戦37試合無敗の偉業に並んだことになる。
“事実上の決勝戦”と世界中のメディアが煽った大一番。戦前の予想は「フランス有利」が多かった。エースのFWキリアン・エムバペをはじめ、前線にはFWウスマン・デンベレ、MFミカエル・オリーズと図抜けた技量を持つアタッカー陣を揃え、加えて脇を固める選手たちも欧州のビッグクラブの主力たちである。
グループIを3戦全勝、決勝トーナメントでもラウンド32から8まで3連勝。トータル6試合全勝で得点16失点2と、つねに圧倒して勝ち上がってきた。だからこそ多くの評論家が「優勝候補ナンバーワン」と推したのだ。
これに対し、スペインは伝統の美しいパス回しを継承しつつ、今大会は守備の強さも際立ってきた。グループHの初戦こそカーボベルデに引き分けに持ち込まれたが、内容は圧倒。その後はフランス戦を含めすべてに勝利し、6勝1分け、得点12失点1と守備の強さが際立った。
その内容から、「ボール支配率はスペインが有利も、フランスのスピードと得点力が試合を決める」と見られていた。
ところが、いざ試合が始まると、スペインがすべての面で上回っていたことに驚かされた。
「各国を恐怖に陥れたフランスの攻撃力が、スペインにまったく通用しませんでした。パスを出すにも迷いが見られ、受け手を捜す時間が増えていくのです。結果、フランスは攻めてもスローダウンさせられ、慌ててボールを失うことが多かった。こんなことは今大会では初めてでしたし、それだけスペインの攻守の切り替えが早かったということ。スペインのサッカーは美しく、そして恐ろしく強いと感じましたね。スコアは2−0ですが、点差以上のスペインの完勝でした」(サッカーライター)
試合はスペインの完勝で決着を見たが、ピッチを離れれば、まだ解決していない問題がある。
「7月12日(同13日)、スペインのラホイ前首相がスペイン紙『デバテ』に『フランス代表は選手のレベルが非常に高い』としながら、『フランス人が一人もいない』と寄稿したのです。
確かに現チームには白人が少なく、アフリカにルーツがある選手も多いことでも知られています。しかし、国籍からいっても彼らは完全なフランス人ですし、『人種差別だ』として国内外から批判を浴びることは当然でした。
フランス国内でもテレビで政府報道官が、ラホイ氏の主張は『卑劣であり、フランス史に対する無知の表れ。フランス代表の26人は、全員がフランス人だ!』と批判しました。フランスとしてはスペインとの一戦に勝って、留飲を下げたかったのではないでしょうか。この問題はまだまだ続きそうです」(前出のライター)
世界中で「差別をなくそう」と叫ばれているが、今大会ではその流れに反して無知な思い込みの投稿が露見している。
ラウンド16でフランスに負けたパラグアイのセレステ・アマリージャ上院議員は、試合後に自身のXで即反応。決勝点を挙げたエムバペに対し「フランス人のふりをしているだけの植民地化されたカメルーン人。偏屈、成り金、傲慢、醜悪だ」と投稿していた。パラグアイはフランスに対し、反則の限りを尽くして北中米W杯を去ることになったが、さらに一人の議員の愚行のため、包囲網を拡大させてしまった。
素晴らしいプレーを見せてくれている選手たちに、観る側も敬意を持つべきだろう。
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