
ボートレーサーの松田真実
水飛沫が舞い散る過酷な水上のバトルが繰り広げられるボートレースの世界で、いま注目を集める若手レーサーがいる。愛知県出身の松田真実選手(25)だ。現在、ボートレース芦屋のGⅢ「オールレディース マクール杯」に参戦中だが、4節連続となる予選突破を果たし、準優勝戦への進出を決め、存在感を示している。そしてSNSではそのビジュアルにも注目が集まっており、Xには
《こんな可愛いボートレーサーが存在していいのだろうか?笑》
《ボートレース界のビジュ破壊力、異常すぎるwww 松田真実選手のこのインタビュー、みんな見てるやつだろこれ》
など絶賛する声が寄せられている。
今でこそヘルメットを被り、最高時速80kmの世界で戦う松田選手だが、数年前まではまったく異なる道を歩んでいた。高校卒業後、歩み始めたのは看護師への道だった。看護学校に入学し、「白衣の天使」を目指して日々専門的な勉強に励んでいた。しかし、そんな彼女の心には、幼い頃からずっと忘れられない光景があった。それはかつて名ボートレーサーとして水面を駆け抜けていた、祖父の爾見照雄(しかみてるお)さんの姿だ。引退後も家族やファンの間で語り継がれる祖父の現役時代の話は、特別のものだった。看護学校の勉強に励みつつも、「本当に自分が命を燃やせる場所はどこなのだろうか」という思いは強くなるばかりだった。悩みぬいた末、彼女が選んだのは祖父と同じ水上の世界だった。看護学校を半年で退学し、超難関のボートレーサー養成所の門を叩き、見事に一発合格を果たしたのだ。
「養成所時代のリーグ成績は、同期のなかで最下位という惨憺たるものだったそうです。訓練中に倒れそうになりながらも、『看護学校を辞めてまでこの道を選んだ』という強い覚悟と根性で、日々の地道な練習とプロペラ修正を積み重ね、2022年11月、地元・蒲郡のボートレース場『ボートレース蒲郡』でプロデビューを飾りました」(スポーツ紙記者)
ここからさらなる試練が待ち受けていた。デビューしてすぐに勝てるのはごく一部の選手のみ。松田選手も例に漏れず、走っても走っても1着が取れない壁にぶつかった。同期の仲間たちが次々と初勝利を挙げていくなかで、気がつけば出走回数は200回を超えていた。長年ボートレース界を見てきたスポーツ紙記者は、当時の松田をこう振り返る。
「ルックスがよいこともあってデビュー当時から注目されていました。成績がついてこず、本人も相当苦しんでいたはずです。しかし、彼女は腐ることはいっさいなかった。地元の練習場に毎日通い詰め、ひたすらプロペラを叩き、ボートに乗り続けていました。その姿を知る関係者の間では『いつか化ける』と噂されていました」
2024年9月、デビューから「208走目」となる地元・常滑でのレースで初勝利を挙げ、長年の努力を実らせた。得意のインコースから完璧なスタートを切ると、そのまま他を寄せ付けずにトップでゴールイン。待ちに待ったプロ初勝利(水神祭)を飾ったのだ。この初勝利をきっかけに、松田の才能が一気に開花した。それまでは「ただ全速力で握って回るだけ」だったターンに、状況を見極めて内側を抜く「差し」の技術が加わったのだ。
「強くなった秘密は、並外れたバランス感覚にあります。小学1年生から中学1年生までの約7年間、フィギュアスケートを習っていました。そこで培われたしなやかで強い体幹があるため、激しい競り合いの最中でもボートがブレることなく安定した走りをキープできるのです。祖父の爾見さんも現役時代は巧みなハンドル捌きでファンを魅了した名手でした。孫である松田選手にもそのエッセンスが確実に受け継がれています。これからさらに上のクラスへ進んでも十分に通用するレーサーになれると思います」(同前)
祖父から譲り受けたレーサーとしての資質と、強い体幹。この2つを武器にボート界を牽引するレーサーになるはずだ。
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