
アジア大会女子400mリレーの選手たち。左から青木益未、三浦愛華、壹岐あいこ、御家瀬緑(写真・AP/アフロ)
9月28日、「愛知・名古屋アジア大会」女子400mリレーがおこなわれ、日本は1走に青木益未(七十七銀行)、2走に三浦愛華(愛媛競技力向上対策本部)、3走に壹岐あいこ(大阪ガス)、4走に御家瀬緑(住友電工)のオーダーで大舞台に臨んだ。
43秒52をマークし、スムーズなバトンパスで3大会ぶり(12年ぶり)となる銅メダルを獲得した。なかでも大きな注目を集めているのが、壹岐だ。弾けるような笑顔と愛らしいビジュアルに、SNSでは《華がある》と瞬く間に話題沸騰。一躍、時の人となっている。
Xには、
《選手の予備知識がなくて見てたら、壱岐がアイドルっぽくて「ちゃんと走れるのかな?」とか、三浦が「チャラいなぁ、走れるのか?」とかナメてました。ゴメンよ~! 青木姉さんはハードルもやってるよね。腹筋がスゴい!》
《女子400メートルリレーの壹岐あいこかわいいな》
など祝福&称賛する声が寄せられている。
壹岐の陸上人生のスタートは小学5年生のとき。走る楽しさに目覚めると、中学、高校で全国大会を制し、陸上界のニューヒロインとして大きな注目を集め、名門・立命館大学から大阪ガスという、エリートコースを歩んできた。
さらに、3歳年上の姉の壹岐いちこも第一線で活躍する陸上選手で、地元では「陸上美人姉妹」として広く知られる存在だった。常に一歩前を走る姉・いちこの背中を追いかけながら、日本の有力選手と駆け上がっていった。しかし、大学進学以降は周囲の大きな期待や、激しい競争のなかで、思うように結果が出ない日々が続いた。
「中学時代から陸上界のスター候補として、常に大きな注目を集めてきました。特に実業団に入ってからは環境の変化もあり、ケガや不調が重なって自分の走りを完全に見失ってしまう時期も。
先に社会人で結果を出していた姉のいちこ選手の存在も『早く追いつかなければ』という目に見えない焦りとなって、追い詰めていったのかもしれません。
『順調だったあの頃』の記憶が鮮明であるほど、記録が伸び悩む目の前のギャップは残酷です。人一倍苦しんだはずです」(スポーツ紙記者)
かつての輝きを知る周囲からは、将来を不安視する声が漏れることもあった。苦悩の時期を支えたのは、日々の地道な練習と、プライベートでのささやかな癒しの時間だった。
猫好きとして知られる壹岐は愛猫との触れ合いや、韓国ドラマが息抜きだったという。2022年2月、ウェブメディア『GrowS』インタビュー記事のなかで、《韓ドラを見ることですかね。Netflixで韓国ドラマを見ることにハマっています》とも明かしている。
吹っ切れるものがあったのか、2026年は躍進の年だった。5月におこなわれた「第70回関西実業団陸上選手権」で女子200mで23秒41、6月の「第111回日本陸上選手権」では100mで11秒48と自己ベストを相次いで更新し、最高の状態でアジアの舞台へと駆け上がった。
「今回の銅メダル獲得は、けっして偶然の産物ではありません。これまで思うような結果が出ない苦しい時期を、じっと耐え抜き、乗り越えてきました。その経験が精神面を鍛えあげ、大舞台でも動じない、本当の強さを育てたのです。素晴らしい走りでした」(同)
苦しみの果てに掴んだアジアの銅メダル。愛くるしい笑顔の裏には、トップ選手へと成長する人知れぬ努力があった。25歳の快進撃は、まだ始まったばかりだ。
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