
戦力外通告に際し、会見で経緯を語った広島東洋カープ・小園海斗
10月1日、広島カープは小園海斗、矢野雅哉、前川誠太、田村俊介の4選手に対し、来季の契約を結ばないと通告したと発表した。
「そうっすね。『信頼できない』と言われたんで」
報道陣にこのように語ったのは、昨季の首位打者であり、今春のWBCで日本代表にも選ばれた小園だ。
4選手のうち前川を除く3選手は、本誌が7月に報じたエトミデート(通称ゾンビたばこ)の売人で、執行猶予つきの有罪判決を受けた滝口涼介氏との“密接すぎる交際写真”に写っていた。小園は会見で、本誌の報道について「否定したいことはあるか」という報道陣の問いに、「まったくない」と答えている。
本誌が、滝口氏と選手らとの写真を入手したのは6月のことだ。滝口氏と矢野、小園、田村ら大所帯で撮られた写真のほか、矢野と滝口氏がホテルの部屋のベッドで横たわっている写真もあった。矢野の枕元には、ゾンビたばこに酷似したものも写っていた(本誌は、球団に複数回にわたり質問状を送っているが、一度も回答はない)。
矢野と前川は9月25日、医薬品医療機器法違反容疑で書類送検されている。
1月、広島の羽月隆太郎元選手が逮捕されたことに端を発した、広島のゾンビたばこ騒動。その後、6月には売人の滝口氏が、ゾンビたばこを羽月氏に譲渡した疑いで逮捕された。
球団の戦力外通告について、スポーツ紙記者は「異例だ」と指摘する。
「まだセ・リーグの優勝も決まっておらず、チームの最終順位すら確定していない時期です。騒動後は、マツダスタジアムに空席が目立つようになった。ファン離れの危機感も、今回の判断に影響したはずです」
突然の通告の裏側を、球団関係者はこう語る。
「広島の新井貴浩監督の続投が決まった段階で、4選手の契約解除は避けられない状況だったと思います。そもそも、新井監督は続投を望んでいたわけではありません。ゾンビたばこ問題があってからは、責任を取るという意味でも、『辞めたい』と強く嘆いていました」
しかし、球団事情がそれを許さなかった。
「球団のイメージ悪化を受けて、次期監督のなり手がいないという理由もあり、球団としては監督を残す判断となりました。チームをリスタートするためにも、今抱えている疑念を一度きれいにする必要があった。今回の契約解除は、まさにそのための判断だったとみていいでしょう」(同前)
では、騒動の発端となった滝口氏は、選手たちとどのような関係を築いていたのか。本人を知る不動産関係者はこう話す。
「もともとプロ野球選手を目指していた滝口氏は、女性を有名人に紹介する・アテンダー・として、六本木では知られた人物でした。顧客は、広島の選手をはじめとした現役アスリート。『プロ野球選手40人を抱えている』と豪語し、野球選手を絡めた講演会やイベントを開催することもありました。特にカープとは繋がりが強く、マツダスタジアムの年間シートを購入して、そこに女性を連れて観に来ていた。滝口と親しい選手は、6人いると聞いていました」
だが、この不動産関係者が聞いた6選手のなかに、今回戦力外通告を受けた前川の名前はなく、別の2人の名前があったという。羽月氏も、5月に自身のSNSのライブ配信で、こう述べている。
「自分を含めたカープの選手6人が、同じ人物から(ゾンビたばこを)購入していた」
一方の滝口氏は、羽月氏へゾンビたばこを譲渡した罪に問われた裁判で、ほかの選手への譲渡を否定している。
「滝口氏は、羽月氏以外にゾンビたばこを譲渡した人は『いません』と否定。検察側は『第三者に譲り渡した可能性は否定できない』と主張したものの、それ以上の追及はありませんでした」(裁判を取材した記者)
法廷では、選手への謝罪を口にした滝口氏だが、判決後に周囲にその胸中を明かしている。知人の一人が語る。
「滝口本人は、さすがに今回のゾンビたばこ事件には『もうこりごりだ』と、まわりの人に話しています。ただ、カープの選手らとの一連の騒動については『自分も悪いけど、こうなったのは自業自得だよ』と吹聴しているそうです。彼も今後いろいろ仕事をしていかないといけないでしょうけど、野球の仕事に未練があるようですね」
球団は、4選手への戦力外通告について、エトミデートを使用した事実は確認できていないとしたうえで、「球団との信頼関係を築くことが難しい」と説明している。前出のスポーツ紙記者は、球団側の責任を指摘する。
「多くの選手を巻き込む騒動になった以上、球団側の管理責任も問われるはずです。ところが今も、松田元オーナーや鈴木清明球団本部長の進退には言及されていません。疑惑の選手を切ることで、一連の問題を終わらせたいという意図が見え隠れしています」
球団の対応を、プロサッカークラブの運営経験があり、スポーツマネジメントに詳しい松平浩一弁護士はこう語る。
「通常、来季契約を結ぶかどうかは、選手としての戦力や将来性などを踏まえて判断されるものです。しかし今回、契約を結ばない理由として掲げられた『信頼関係を築くことが難しい』という説明は、あまりにも抽象的です。選手側は潔白を主張し、球団側も幾度となく調査をしてきましたが、明確な事実調査の結果を示していません。このような対応は、外部からの批判や後々のリスクを避けるために『臭いものに蓋をする』姿勢のように受け取られます」
その理由として松平弁護士は、プロ野球球団が多くのファンやスポンサー、地域社会の期待を背負った公共性の高い存在であることを挙げる。
「だから球団には、重大な疑惑やトラブルが発生した際には、実態や原因を徹底的に調査・検証し、説明責任を果たすとともに、再発防止に向けた取り組みを示すことが求められます。球団は一連の騒動では、『週刊誌報道には回答しない』という姿勢を貫いてきましたが、危機管理として不適切だったといえます。これで騒動を終わりにしようとしているのなら、選手のみならず球団、そしてプロ野球界全体にとっても大きな損失であり、残念でなりません」
球団はこれまで、本誌の取材にはいっさい応じることはなかったが、事実解明から逃げ続ける限りファンの信頼回復は難しいだろう。
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