
王手をかけたソフトバンクの小久保裕紀監督(写真・時事通信)
10月27日、みずほPayPayドーム福岡でおこなわれた「SMBC日本シリーズ」第3戦。福岡ソフトバンクホークスは延長10回、正木智也の劇的なサヨナラ本塁打で横浜DeNAベイスターズを2対1で下した。開幕からの3連勝で、日本一へ王手をかけた。今回のシリーズは、史上初となる3試合連続で延長戦となっている。
もつれる死闘の連続でもソフトバンクが連勝している背景には、代打や代走を含めて控えの層の厚さ、さらに、ここぞという土壇場で1本が出せる集中力があるだろう。
そして、この強みを最大限に引き出しているのが小久保裕紀監督による大胆な采配だ。現役時代のイメージとは一味違う、柔軟で力強い小久保監督のリーダーシップが、チームを連勝へと導いている。
Xには
《小久保さんの采配が的中しまくってて未来見えてるんじゃね説 時をかける裕紀》
《小久保監督の采配が天才すぎるんだよなまじで 裕紀様様すぎる》
などの声が見受けられる。
小久保監督は、ソフトバンク一軍監督になった2024年にパ・リーグ優勝を果たし、翌2025年にもリーグ優勝して2連覇を達成した。選手たちを的確に配置し、勝ち続けられるチームを作った実績から、今ではプロ野球界を代表する「名将」と呼ばれている。
以前の小久保監督は、周囲に対して厳しい指導をおこなう「孤高のリーダー」として知られていた。2012年の現役引退後、2013年からNHKの野球解説者などを務めると同時に、日本代表「侍ジャパン」の監督に就任した。2017年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、チームをベスト4に導いた。
その後、2021年ソフトバンクの一軍ヘッドコーチとして現場へ復帰。2022年からの2年間は二軍監督を務め、若手選手の育成に力を注いだ。この「二軍監督」としてのキャリアが、小久保監督の指導方法を大きく変えるきっかけとなった。
「現役時代の小久保監督は、自分にも周囲にもいっさいの妥協を認めない、厳格な姿勢で知られていました。しかし、二軍でプロに入ったばかりの若手選手と一緒に練習を重ねたことで、指導法を一変させます。自分の考えを一方的に押しつけて怒るのではなく、選手と同じ立ち位置で会話をし、相手が納得できる言葉を選びながら悩みを丁寧に聞き出す方法へ切り替えたのです。
この『一人ひとりの選手に寄り添った対話』が、現在のチーム内で選手からの強い信頼を集めています」(スポーツ紙記者)
かつての厳しいイメージを知るファンからは、今のベンチで見せる穏やかな表情や、選手を信じてまかせる采配は驚きをもって受け止められている。
小久保監督の強みは、過去の実績に執着しない「勉強量」にもある。現役時代の輝かしい実績や日本代表監督の経験に甘んじることなく、指導者としての器を広げるために多くの本を読み、他分野のリーダーシップ論からも貪欲に学びを深めてきた。
「今回の日本シリーズは3戦連続で延長戦に突入する過酷な試合展開となりましたが、ベンチの選手を送り出すタイミングがことごとく的中しています。これは、二軍監督時代に選手の調子や性格を細かく見きわめてきた経験に加え、日々怠らない采配のシミュレーション、他分野のリーダーシップ論まで読みあさる地道な『勉強量』の賜物でしょう」(同)
厳しい「鬼のキャプテン」から選手と同じ目線で戦う名将へ、進化を遂げた小久保裕紀。悲願の日本一へ向けて、チームの士気は最高潮に達している。
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