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吊り出しで勝つと気持ちいい!「栃ノ心」が優勝宣言
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2018.07.10 11:00 最終更新日:2018.07.13 10:40
「今なら誰にも負けない。そう思っていた。先場所が始まる前から、自分が勝つイメージしかなかったよ」
名古屋場所でひときわ大きな歓声を浴びている新大関の栃ノ心(30)。先場所は13勝2敗で文句なしの大関昇進を決めた。なかでも、横綱・白鵬を26回めの対戦で初めて降した一番は「栃ノ心、強し」を印象づけた。その一番について語ったのが冒頭の言葉だ。
「調子がよくて初日から連勝していたし、自信はあった」
5年前の右膝の大怪我などもあり、新入幕から60場所での大関はスロー昇進の1位タイ記録だ。
「膝がずっと痛かったんだ。水が溜まったりね。最近やっとよくなってきて、力が入るようになったよ」
もうひとつ大きく変わったことがある。2017年11月、長女が誕生したことだ。
「もちろん、それも力になっているよ。この前、やっと会えたんだ。嬉しかった」
先場所後、ジョージアに帰国。大統領との面会や取材と多忙なスケジュールに追われたが、初めて我が子をその腕に抱くことができたという。
祖父はサンボのソ連王者。栃ノ心自身もサンボの欧州ジュニア王者、柔道では欧州ジュニア銀メダルの実績がある。
「相撲に出会わなかったら、今も柔道をやっていたと思う。柔道で五輪に出るのが、子供のころの夢だったんだ」
サンボや柔道で鍛えた下半身に、鎧のような上半身の筋肉。こんな「西洋甲冑」にまわしを摑まれたら、身動きが取れない。その力強さを象徴するのが「吊り出し」だ。近年は力士の大型化の影響もあって激減し、「幻の決まり手」になりつつある。
2018年五月場所までの3場所の幕内の取組で、「吊り出し」はわずか2回。栃ノ心の吊り出しでの勝利数20は、現役関取では断トツだ。
「気持ちいいよね、吊り出しで勝つと。本当はもっと吊り出しで勝てたと思うんだけど、俵が気になって下ろしてしまうんだよ。吊ったまま外に出ても勝ちなんだけどね」
そんな名手も、一度だけ吊り出しで負けたことがある。
「覚えてる。相手は把瑠都関(取組は2009年)。子供みたいに吊り上げられて何もできなかった。背中が照明に近くなって熱かったのを覚えてる。アチチチッて(笑)」
名古屋での目標は「二桁勝利、そしてもちろん優勝」と新大関。豪快な吊り出しに期待が集まる。
(週刊FLASH 2018年7月24・31日合併号)