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東京五輪代表を目指す「山の神・神野大地」ケニアで武者修行
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2018.09.16 11:00 最終更新日:2018.09.16 11:00
「一度きりの人生だし、後悔はしたくない。リスクを恐れて打算的に生きるのは、僕の信念に反するので」
こう語るのは、青山学院大学の箱根駅伝連覇に貢献し、「三代目山の神」と呼ばれた神野大地(24)だ。2018年4月30日付で、所属していた実業団を退社。神野は東京五輪マラソン日本代表を目指し、プロランナーに転向した。
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「まだメインスポンサーが決まっていないんです。いまは実業団時代の貯金を切り崩しながら、遠征費などを捻出しています。もちろん不安はあります。
でも、『箱根駅伝を走って、強豪実業団で活躍する』という従来の “青写真” 以外にも長距離界のトップを目指せることを、陸上少年たちに知ってほしい。そういう部分でも、僕のチャレンジは意義のあることだと思います」
この夏、神野はケニアに向かった。7月9日から約2カ月にわたる合宿を、ケニア中西部に位置する標高約2400メートルの高地「イテン」で張ったのだ。ここは、“マラソンの聖地” と呼ばれている。
「現地ではニュージーランドのハーフマラソン記録(59分47秒)保持者のゼーン・ロバ ートソン(28)のキャンプに参加しました。彼を含めて、ハーフの持ちタイムが59分30秒前後の選手が4人もいるレベルの高いチーム(神野のハーフ自己ベストは1時間1分4秒)。毎日、必死に食らいついて練習しました」
練習相手もさることながら、コースもこれまで経験したことがないものだった。8月半ばには、神野がSNSで、「今まで何回も距離走してきたけど、間違いなく一番キツいコースだった/もちろん箱根の坂よりも」と語るほど。
「日本の環境はもちろん恵まれているのですが、いままで自分はどれだけ狭い世界で競技をしていたのか、ということを感じました。アフリカ人選手が世界の長距離界を席巻している理由、日本で練習していても、彼らには勝てないということを実感しましたね。ランナーとしての視野が広がりました。」
神野は、9月16日におこなわれるベルリンマラソンに出場する。
実業団時代、2017年12月の福岡国際マラソン(13位)と、2018年2月の東京マラソン(18位)に挑戦したが、どちらも思いどおりの結果ではなかった。勝負どころの後半に、「差し込み」と呼ばれる下腹部の激しい痛みが原因で、失速していたのだ。だが、その対策も万全である。
「医療機関で精密検査を受けたのですが、一般的な人にはある横隔膜と臓器の間の内臓脂肪が、僕にはほとんどなく、しかも横隔膜がめちゃくちゃ大きい。それで横隔膜と臓器が擦れることで、『差し込み』が発生していたんです。
そこで、春の長距離レースでは、試合1週間前からフルーツ缶を毎食摂取することで内臓脂肪を作っていき本番を迎えました。このやり方で、腹痛が起きずにレースを走りきることができました。
ただし、マラソンではこれまでと同じ方法だと、まだ内臓脂肪の量が足りないようです。なので、トレーナーさんと栄養士さんの助言の下、フルーツ缶の摂取以外も含めたマラソン用の対策をとっています。
それを10日間かけておこなってから、ベルリンマラソンに臨む予定です」
ベルリンマラソンでは、東京五輪代表選考レース・マラソングランドチャンピオンシップの出場権を目指す。「山の神」がマラソン界の頂に立つ日は近い。
かみのだいち
1993年9月13日生まれ 愛知県出身 2012年に中京大中京高から青山学院大に入学。2015年の箱根駅伝では5区の区間記録を樹立し、同大学史上初の総合優勝に大きく貢献した。座右の銘は「努力は裏切らない」
(週刊FLASH 2018年9月25日号)