新日本プロレスの勢いが止まらない。低迷期といわれた10年前からV字回復を果たし、2018年は同社最高売り上げを20年ぶりに更新する見込みだ。
会場には “プ女子” と呼ばれる女性ファンも詰めかけ、チケットは入手困難。リングでは新たなプロレスムーブメントが起きている。熱狂の要因とは?
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「新日の入場テーマの大きな特徴のひとつは、選手がドームの長い花道を歩くことを想定してつくられている点。これは、ドーム興行が多い新日ならではでしょう」
そう語るのは、現在、『FIGHTING TV サムライ』(スカパー)で新日本の実況を担当する清野茂樹アナ。東京ドームを中心に大会場での興行が多い新日本は、他団体と比べて選手の入場パフォーマンスも派手だ。
いまは、プロレス界に金の雨を降らせる “レインメーカー” ことオカダ・カズチカのパフォーマンスが代表的な存在。スモークとともに、入場ゲートから現われた彼が両手を広げると、会場に “レインメーカードル” が舞い散る光景は、もはやファンにはお馴染みだ。
「新日の選手は、曲に合わせて自分をどう見せるかを考えている人が多い。たとえば、1990年代の闘魂三銃士と全日本プロレスの四天王を比べてみると、四天王の入場って、三沢光晴も、川田利明も、ただ普通に歩いて入場してくるだけで皆、淡々としている。
でも、新日は蝶野がハマーに乗って入場したり、武藤はムタになるときに曲を変えたり、衣装を変えたりと、見せ方が全然違う。このへんは、何かと見得を切る猪木と、寡黙な馬場のイズムの違いというか、社風ともいえるかも(笑)」
さらに、新日本の入場テーマにはこんな傾向も。
「新日の選手は出世するにつれて、曲を変える傾向がある。武藤も複数回変えて、棚橋、中邑も若手時代とは違う。最近でも高橋ヒロムとか、みんな曲が変わっています。それと、新日はいまだに若手の海外武者修行という風習が残っていて、凱旋帰国を機に曲を変える。これも特徴です」
前述のオカダの入場テーマも、凱旋時に変えたもの。
「オカダの入場テーマは、最近の新日のテーマ曲では秀逸。コインが散らばる音で始まるのもインパクトがあるし、メロディも力強い。“レインメーカー” のイメージにぴったりだし、これぞ新日本お得意の豪華な入場って感じですね」
きよのしげき
45歳 兵庫県出身 1996年に広島エフエムに入社し、2005年に退社。フリーアナウンサーに転向し、2006年より『新日本プロレスワールド』でも実況を担当。著書に『1000のプロレスレコードを持つ男』(立東舎刊)など
(週刊FLASH 2018年10月2日号)