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体育会ゴルフ部出身の「中村扇雀」合宿でタワシ紛失し坊主に
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2018.11.21 06:00 最終更新日:2018.11.21 06:00
「悪質タックル」「奈良判定」が流行語大賞にノミネートされるなど、体育会パワハラが世間を賑わせた2018年。しかし、ひと昔前には、体育会は「理不尽」が日常だった。
今と昔は何が違うのか。理不尽な体育会出身の歌舞伎俳優・中村扇雀(57)を訪ねた。
学生ゴルフ発祥の地といわれる慶應義塾大学。中村氏は、その体育会ゴルフ部で壮絶な体験をした。
「幼稚舎から慶應に通ったんですが、神宮球場の慶早戦で、体育会系の学生の学ラン姿に憧れたんです。大学に進学したとき『きつくて部をやめたら大学もやめて、歌舞伎に専念する』と、反対する父を説得して入部しました」
ゴルフ部は、想像以上に厳しかった。最初の新入生トレーニングで、入部希望の30人のうち半分以上が脱落した。
「2時間走って筋トレ、また走るという、イジメみたいなもの。僕は、食事量を倍にして、毎日、水を2リットルから3リットル飲んでたけど、体重が10キロ減った。
夏には新入生合宿があって、先輩のゴルフバッグと自分のと、2つかついでコースをまわる。先輩が打つと走ってボールを確認に行って、走って戻って自分が打つ。クラブを洗うタワシがなくなり、1年生は全員丸坊主にされました。
1週間乗り切ると、晴れて部員になれるんだけど、なんの前ぶれもなく、いなくなった奴がいた。栃木の山奥から、荷物を置きっぱなしで夜逃げしていたんです」
大学で始めたゴルフは、半年でハーフ39、1年で35まで向上。3年生でレギュラーになった。
「卒業して歌舞伎の世界に入ったけど、その年齢まで稽古していない歌舞伎役者なんていなかった。
追いつくため、一晩じゅう三味線の稽古をして、気づいたら朝、ということがよくありました。それでも苦じゃなかった。体育会の4年間で、逆境に耐える準備ができたと思うんです」
(週刊FLASH 2018年11月13日号)