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元横綱・武蔵丸の「わが生涯最高の一番」1994年の貴ノ花戦

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2019.01.08 16:00 最終更新日:2019.01.08 16:00

元横綱・武蔵丸の「わが生涯最高の一番」1994年の貴ノ花戦

 

「昔はいまよりも強い力士がいっぱいいたんだ」


 
 かつての猛者たちは口をそろえてこう語る。元横綱・武蔵丸、そしていまも人気がある武蔵川親方(47)が、かつて繰り広げた、記憶に残る「名勝負」を振り返る。

 

「何度も優勝したけど、いちばん嬉しかったのは最初の優勝。あの時代に全勝優勝なんて、なかなかできることじゃなかったからね」

 

 

 1994年7月場所。1人横綱の曙が休場したものの、大関には武蔵丸以外に若貴兄弟と貴ノ浪。関脇に琴錦、武双山がいて、小結が魁皇、寺尾、貴闘力。平幕にも、舞の海や旭道山らのくせ者が名を連ねていた。なんともすごい顔ぶれである。

 

「本当に強い力士がいっぱいいた。あのときに関脇、小結なら、今は横綱、大関じゃないか。魁皇なんて絶対に横綱だね。そんななかでの全勝だから、価値があるんだよ」

 

 大関昇進から3場所め、初日から快進撃を続けた武蔵丸は、千秋楽で貴ノ花と対戦。貴乃花が一気の寄りに出たところ、土俵際で形勢逆転。豪快な下手投げを決めて、初優勝を果たした。

 

「貴ノ花をライバルっていう人がいるけど、それは違う。自分がこの世界に入ったとき、向こうはもう関取。ずっと追いかけていたんだ」

 

 とはいえ、やはり対戦をいちばん楽しみにしていた相手でもあったという。

 

「持っているものが、ほかの力士とは全然違ったね。どうやって攻めるか、形を崩していくか、ずっと考えていた。当たるのはだいたい千秋楽なんだけど、それまでに自分の気持ちを上げていかないと絶対に勝てない相手だった。

 

 貴ノ花だけじゃない、みんな強くて大変だった(笑)。でもね、あの時代に相撲が取れてよかった。楽しかった。今は本当にそう思ってるよ」

 

◯武蔵丸(下手投げ)貴ノ花●【1994年7月場所千秋楽】


第67代横綱・武蔵丸/現・武蔵川親方
(むさしまる/むさしがわおやかた)
1971年5月2日生まれ アメリカ・ハワイ州出身 1989年9月初土俵。幕内優勝12回。生涯戦歴779勝294敗115休。2003年引退。2013年、年寄「武蔵川」を襲名

 

(増刊FLASH DIAMOND 2018年11月10日号)

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