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6人の赤ヘルレジェンドたちが伝授「広島カープ」の破り方

スポーツ 投稿日:2019.04.06 06:00FLASH編集部

6人の赤ヘルレジェンドたちが伝授「広島カープ」の破り方

2018年に活躍したフランスア

 

 3月29日、2019年の開幕戦。「日本最強投手」の菅野智之(29)を擁する巨人に鑑賞し、セ・リーグの優勝候補といわれる強さを見せつけた広島カープ。巨人へFA移籍した丸佳浩(29)も、4連続三振と完璧に抑え込み、4連覇が懸かる今季をスタートさせた。だが、以降は不振が続いている。

 

じつは、球団の礎を作ったレジェンドたちの厳しい目で見ると、「不安」が浮かび上がっていた。本誌が取材した6人のOBが、広島の弱点を明かした。

 

 

 開幕戦では、エース・大瀬良大地(27)が8回無失点で勝利を収めて快勝し、巨人は手も足も出なかった。しかし、「その投手陣こそ広島の足枷になる可能性がある」と、OBたちは口を揃える。まずは池谷公二郎氏(66)が口火を切る。

 

「カープの弱点は、先発完投型の投手がいないこと。巨人の菅野のような絶対的なエースがいない。だから、日本シリーズなどの短期決戦で勝ちきれない。

 

 大瀬良、ジョンソン(34)、野村祐輔(29)ら数は揃うが、彼らに共通しているのは、『スタミナ不足』。そのため、救援陣に負担がかかり、シーズン中盤にへばってしまう傾向があります」

 

 池谷氏が指摘するように、2018年、たとえば菅野が10試合に対し、大瀬良は2試合。広島の先発陣が完投したのはわずか3試合と、リーグで下から2番めの記録。巨人の21試合には、遠く及ばない。

 

 達川光男氏(63)は、内容にも疑問符がつくという。

 

「完投数の少なさもそうですが、チーム防御率が4点台では心もとない。それでも2018年優勝できたのは、打線の活躍が大きかったからです」

 

「救援陣にも不安あり」と語るのは小早川毅彦氏(57)だ。

 

「先発もそうですが、リリーフ陣も不安だらけ。どの投手も、実際に投げてみないとわからないというのが私の見立てです。

 

 そのなかでカギを握るのが、2018年シーズンに、中継ぎとして大活躍した、外国人左腕のフランスア(25)。猛暑だった8月に、月間最多タイとなる18試合に登板。しかも『防御率0.51』と圧巻の内容でした。

 

 2019年も、彼の出来次第で広島の浮沈が決まりそうですが、現状、昨季に比べると制球が悪い気がしてなりません」

 

 そのフランスアを、「抑えにまわしてもいい」という声も多い。

 

「セーブ王のタイトルを一度も獲得したことのない中崎翔太(26)にも、一抹の不安を感じます。最大の弱点は安定感の欠如。代わりばなに、先頭打者にヒットを打たれたり、四球を与えたりすることが多い。

 

 そして、大事な場面で三振が取れない。三振を取るためにフォークを投げはじめたが、まだ覚えきれていません。中崎が抑えで使えないのであれば、フランスアと配置転換する必要もある」(池谷氏)

 

 事実、中崎は開幕戦でも、5点差というアドバンテージがある状況で、エラー、安打、四球で二死満塁のピンチを作ってしまった。

 

併用起用が予想される長野選手

 

 一方、攻撃面に目を移せば、誰もがFAで抜けた丸の穴を心配する。『入れ替え』でやってきた長野久義(34)についても、小早川氏は一刀両断。

 

「今の年齢で、シーズンを通して活躍できるか疑問です。案の定、オープン戦でも苦労(注:打率.125)していたでしょう?」

 

 また、「長野は併用起用になるだろう」と語るのが、安仁屋宗八氏(74)だ。

 

「長野、野間峻祥(26)、西川龍馬(24)と揃っていますが、西川の守備はやや心配です」

 

 達川氏も「『センター・丸』の代わりはいるが、『三番打者・丸』の代わりはいない」と語るなど、不安視する声は多い。

 

 さらに、攻守の要の「捕手にも不安があります」と述べるのは大野豊氏(63)だ。

 

「盗塁や積極的な走塁は、広島の大きな武器となっている一方で、広島の捕手の『盗塁阻止率』がものすごく低いことはあまり知られていません」

 

 たしかに、昨季の広島の盗塁は、阪神の盗塁を大きく引き離してトップの数字である。

 

 だが、盗塁阻止に目を向けると正捕手・會澤翼(30)を中心に、チーム全体で相手チームからの盗塁企画数は104。このうち盗塁刺数は20しかなく、「阻止率.192」は断トツのリーグ最下位である(阻止率トップは阪神の.300)。

 

 以上のことを踏まえて他球団は、「打倒広島」のために、どのような戦いをすればいいのか。外木場義郎氏(73)は、「機動力」を挙げる。

 

「広島の弱点は、先発が序盤3回までに失点を許して、リードされる展開になること。早い回に先制されると、投球リズムに狂いが生じてくる。好機を迎えたら、序盤からでも徹底して機動力を使う戦法こそ、広島投手陣が嫌がる攻め方になると考えます」

 

 足を絡めた野球に安仁屋氏、大野氏も賛同する。

 

「盗塁やエンドランは効果的。2018年の日本シリーズで、足を生かしたソフトバンク、足を封じられた広島。あの戦いがヒントになる」(安仁屋氏)

 

「足を使う野球が広島の特長。ふだん自分たちがやっていることをやられると、気持ちが悪いものです」(大野氏)

 

 一方、守りでも機動力封じがカギを握る。

 

「田中広輔(29)、菊池涼介(29)を塁に出さないこと。彼らの走塁は驚異です」(池谷氏)

 

 ここまで広島の不安材料や攻略法を語ってもらったが、「2018年のような独走はないはず」と前置きしたうえで、「それでも、優勝候補の筆頭が広島であることは間違いない」と、6人は口を揃える。

 

 その理由のひとつを外木場氏は、こう語る。

 

「昨季、逆転勝ちの試合は球団トップの38回。ことにマツダスタジアムでは圧倒的な声援ゆえか、終盤に強みを発揮する」

 

 また、大野氏は、ホームでのアドバンテージを指摘。

 

「戦う前から、ホームでの広島は強い、という先入観が強すぎて、相手が萎縮している」

 

 一方で達川氏は、「巨人の大型補強は攻撃陣だけ、投手陣に上積みはない」と対抗馬の不在に言及した。

 

 143試合の長丁場。セ界の勢力図を塗り替えるのはどのチームか。

 


(週刊FLASH 2019年4月16日号)

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