2022年サッカーワールドカップ(W杯)の開催地に決定しているカタール。首都・ドーハは建設ラッシュの真っ只中だ。
この国の人口は約215万人。7世帯に1世帯が1億円以上の金融資産を有しているという。そんなカタールで開催される2022年W杯は国内の7都市12会場で実施される予定だが、そのうちドーハに6会場が集まっている。いま4つのスタジアムが新規建設される計画だ。
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ドーハの会場のうちのひとつ、「ハリーファ国際スタジアム」は、2006年アジア競技大会のメインスタジアムにも使用された巨大スタジアムだ。いま、そこから1キロほど歩いたところに、地下鉄の「スポーツシティ駅」が建設されている。この駅に通る路線は今年10月に開通予定のため、急ピッチで工事が進んでいる。
現在、カタールの公共交通機関は国営バスのみ。そんな国に世界的イベントで数百万の観光客が訪れるため、地下鉄の整備は急務だ。
だが、首都ドーハは巨大道路がいくつも伸びる「自動車都市」。いたるところに巨大な駐車場もあるし、なにより春で最高気温35度超、夏には50度に届かんとする気候のため、日中に外を歩いている人は観光客以外いない。
スポーツシティ駅に地下鉄が通ったとしても、スタジアムまでは周辺にある運動公園を突っ切って15分ほど歩かなければならない。おそらく駅が開業しても、ワールドカップ以外に役に立つことはないだろう……。
4路線85駅の開業を目指しているドーハメトロだが、全体で今後どれほど需要があるのかは疑問だ。
スタジアム周辺にある「アスパイア・パーク」と名付けられた運動公園は、88ヘクタール(東京ドーム約19個分)の敷地に、前述のスタジアムや競泳場、体育館、ホテルにフットサルコートなどがある充実した公園だ。
だが、日曜日に訪れても、作業員やスタッフ、開催されている「アジア陸上競技選手権」の関係者以外、ほとんど公園には誰もいない。
公園内にはさまざまな健康器具が設置してあるのだが、もちろん誰も使っていない。記者が日中、試しに使ってみようと思ったが、その日も気温は35度近く、鉄で出来た器具は触るだけで熱くて、じんわりと手汗をかいてきた……。
そんなスタジアム周辺で、唯一、人だかりがあるのは近くに併設されている巨大ショッピングモールだ。涼しいし、なかにはレストランやショップ、遊園地、スケートリンク、なんなら川だって流れている。だが、どう見ても人が少なすぎるのが、最大の問題のようだ。