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アジア選手権で圧勝「日本バドミントン」育てたのは韓国人監督

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2019.04.30 09:45 最終更新日:2019.04.30 09:45

アジア選手権で圧勝「日本バドミントン」育てたのは韓国人監督

写真:松尾/アフロスポーツ

 

 4月28日、「アジアバドミントン選手権大会」で日本が圧勝した。
 男子シングルスは桃田賢斗が優勝、男子ダブルスは遠藤大由と渡辺勇大が優勝、女子シングルスは山口茜が優勝、さらに女子ダブルスは永原和可那と松本麻佑が準優勝という、信じられないほどの日本旋風が巻き起こった。

 

 実は、日本はバトミントンが強く、世界ランキングでも上位を占めている。桃田は男子シングルスで1位、山口は女子シングルスで4位。女子ダブルスは1位から3位までを、すべて日本人選手が独占している。なぜ、日本はここまで強いのか。

 

 

 今回、ダブルスで優勝した遠藤大由と渡辺勇大は日本ユニシスのバドミントン部に所属しているが、同社関係者がこう話す。

 

「日本はバドミントン人口が多く、選手層が厚いと言われます。比較的学生のころから練習環境や試合環境が整っているんです。それと、日本代表の監督には韓国の著名な方がついています」

 

 この人物こそ、パク・ジュボン監督だ。パク監督は、1980年代から90年代半ばにかけて韓国で活躍した選手。1992年のバルセロナ五輪では男子ダブルスで金メダル、続く1996年のアトランタ五輪では混合ダブルスで銀メダルを獲得。世界選手権は5回優勝しており、「シャトルコックの皇帝」という異名で知られていた。

 

 現役引退後、2004年から日本バドミントン代表のコーチに就任。
 パク氏が就任する前のアテネ五輪では、日本は11人が出場するも、ほぼすべて初戦で敗退するようなレベルだった。
 いったい、パク氏はどうやって日本を強くしていったのか。

 

 パク氏によれば、就任時の日本人選手たちは勝負欲が少なく、さらに構造的な問題があったという。東京新聞(2016年10月2日)でこう語っている。

 

「日本には代表チーム専用のトレーニングセンターがなく、空いているコートを借りて練習していました。代表チームとしての合宿も年に、3、4回で、それぞれ3日程度。コーチも、実業団などの所属コーチが一時的に代表チームのコーチになるシステムだった。ですから使命感がない」

 

 監督はバドミントン協会の役員が掛け持ちで務め、遠征前の強化合宿もなかった。出発前の空港で初めてメンバーが顔を合わせるような状態だったという。

 

 もう一つの問題がポイント制だった。五輪の出場枠を得るには世界ランクを上げなくてはならないのだが、日本選手はポイント稼ぎのため、レベルの低い国際大会ばかり出ていた。

 

「私は監督になってからインドネシア、中国、マレーシア、韓国などの強豪選手らが出る大会にどんどん出場させた。もちろん負けます。しかし、どれだけ努力しなくてはいけないか、自分で感じさせたかった。そして、まず8強を目指そうと呼びかけました」(前出インタビュー)

 

 こうして、パク監督は選手たちの勝負心を強化していった。
 さらに、監督の要望で、東京・北区の国立スポーツセンターにバドミントン専用体育館が建設されたことも大きかった。

 

 パク監督の指導は、徐々に成果を出していく。2008年の北京五輪ではスエマエ(末綱聡子&前田美順)がベスト4に進出し、2012年のロンドン五輪ではフジカキ(藤井瑞希&垣岩令佳)が初の銀メダルを獲得。選手たちがメダル争奪戦に参加するようになり、ついに2016年、リオ五輪でタカマツ(高橋礼華&松友美佐紀)が金メダルを獲得した。

 

 前出の日本ユニシス関係者は、「選手たちはとにかく練習している」と話す。今ではバドミントン日本代表は、合宿120日、海外遠征130日と、年間で250日も活動しているという。

 

 日本選手をパワフルに変えたパク監督は、選手たちから親しみを込めて「パクさん」と呼ばれているそうだ。
 監督の契約は、東京五輪終了後の2021年3月末まで延長された。パクさんは、東京五輪でも日本の強さを世界に知らしめてくれることだろう。

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