「まずは『ほっとした』というのが、正直な気持ちです。もう、関取が怪我をしなくていいんだ、怪我の心配をしなくていいんだと」
7月17日に引退した安美錦(40)の妻・絵莉さん(35)が、本誌にその心中を打ち明けた。
「『次に怪我をしたら終わりかもね』と話していたので、覚悟はできていました。主人も悩んだようですが、電話の声からは清々しいものを感じました。
【関連記事:最年長関取「安美錦」7月に生まれた長男に・・・】
主人が子供たちに『お相撲さんやめてもいい?』と聞くと、子供たちは『いいよ』と。これからはパパと遊べると、喜んでいましたね」
2人の出会いは2012年、日馬富士の横綱昇進パーティだった。そのわずか2カ月後にゴールイン。
絵莉さんは「炊飯器も持っていなかった」というくらい料理に疎かったが、猛勉強の末、アスリートフードマイスターの資格を取得し、夫を支えてきた。場所中は、最低でも10品のおかずを揃えるのが日課だったという。
2013年に長女、2015年には次女が誕生。そんななか、安美錦がアキレス腱断裂の大怪我を負う。2016年五月場所のことだった。
「長女は2歳、次女はまだ1歳にもならないときでした。まだ歩けない子供を連れて入院している病院に通い、それから治療のためにいろんなところへ行きました。あのころがいちばん大変でしたね」
安美錦は番付を十両まで落としたが、見事復活。幕内に戻った2017年11月場所では、敢闘賞を受賞した。
「長男は、この7月場所の直前に2歳になりました。そのときは、主人が名古屋から日帰りで、お祝いをしてくれたんです。本当に子煩悩な人なんです。これから子供と過ごす時間が増えますし、パパの運転でお出かけするのを楽しみにしているんですよ」
以前、安美錦は本誌のインタビューでこう語っている。
「長男がわかるようになるまでは土俵に立っていたい」
その長男がつい最近、たどたどしいながらも「あ・み・に・し・き」と、口にしたという。
「主人はすごく喜びました。ただ、それをひとつの区切りにすると前から話していたので、『あ、言っちゃったからもう終わりだね』って、冗談ぽく笑ってましたね」
安美錦の22年半の土俵人生の大半は、怪我との闘いでもあった。特に右膝には2004年以降、何度も苦しめられてきた。この7月場所で、歴代1位タイとなる「関取在位117場所め」とした稀代の名力士を引退に追い込んだのも、やはりこの右膝だった。
「主人は10月で41歳になりますが、これからの人生はまだ長いですから。無理をして、歩けなくなったら困るという話もしました。
今後は人工関節を入れるとか、医師と相談しながらですが、まずはダイエット。40kg、50kg、女性ひとりぶんくらいは落とさないと(笑)。ただ、食べながら痩せないといけないので、これまでとは違うメニューを思案中です」
(週刊FLASH 2019年8月6日号)