【福岡】
●西日本短大付VS.拓大紅陵(1992年決勝)/1-0
スクイズがチームの命運を分けた。まず2回裏一死一、三塁でスクイズを仕掛けた西短が1点をもぎ取る。7回表一死三塁で拓大紅陵(千葉)もスクイズを敢行したが、高めに外され失敗。貴重な1点を守りきった西短が優勝。
西短の森尾和貴投手(元新日鐵八幡)は、本大会で44回2/3を投げ、四死球4、失点1、防御率0.20という記録を残した。
【佐賀】
●佐賀北VS.広陵(2007年決勝)/5-4
佐賀北の鮮やかな逆転劇。7回終了時で広陵(広島)が4点リードしていた。流れが変わったのは、8回裏。一死満塁フルカウントから広陵の野村祐輔(広島)が投げたボールは、微妙な判定の「ボール」(のちに誤審騒動に)。
押し出し四球の直後、佐賀北に逆転満塁弾が生まれる。9回裏の反撃を好守備で防ぎ、初優勝を飾った。
【長崎】
●海星VS.崇徳(1976年3回戦)/1-0
超高校級の投手対決。海星の怪物「サッシー」こと、酒井圭一(元ヤクルト)は、地方大会で16連続奪三振、決勝ではノーヒットノーランを達成。対する崇徳(広島)には、春の選抜優勝投手の黒田真二(元ヤクルト)が。
この試合で出たヒットは、海星3本、崇徳2本とわずか1本差。ボテボテのゴロがヒットになり、決勝点となった。
【大分】
●明豊VS.神村学園(2017年3回戦)/9-8
8回を終え5−2。明豊3点リードで迎えた9回表の攻撃で、神村学園(鹿児島)の打線が爆発、同点に追いつき延長戦へ。
12回表、神村学園が3点を奪い勝負は決まったかに見えたが、明豊はその裏の攻撃で、二死満塁から暴投と2点タイムリーヒットで同点に。また満塁となり、フルカウントの末、押し出し四球。まさかの結末となった。
【熊本】
●九州学院VS.鹿児島実(2010年3回戦)/8-7
9回表を終え、7-4と九州学院がリード。裏の攻撃に入り、鹿児島実の先頭打者がセンターオーバーの二塁打を放ち、打線に火がついた。計5本のヒットで3点を奪い同点に追いつく。
そして試合は延長戦に突入。10回表にタイムリーで1点勝ち越した九州学院は、その裏を3人で仕留めゲームセット。九州対決は、熊本県勢に軍配が上がった。
【宮崎】
●延岡学園VS.前橋育英(2013年決勝)/3-4
延岡学園は、大会屈指の右腕である前橋育英(群馬)の高橋光成から、4回に3点を先制。だが5回に追いつかれ、さらに7回、1点勝ち越された。
粘る延岡学園は、9回無死一、二塁。「ワンヒットで同点、長打でサヨナラ」というチャンスを作ったが、後続が倒れゲームセット。宮崎県勢初Vまであと一歩、県民には忘れられない試合となった。
【鹿児島】
●鹿児島実VS.東海大相模(1974年準々決勝)/5-4
鹿児島実のエース・定岡正二(元巨人)と、東海大相模(神奈川)の1年生・原辰徳(巨人監督)の対決に注目が集まった。
9回表まで1点差でリードしていた鹿実だったが追いつかれ、延長戦に突入。鹿実が14回表に1点勝ち越すも、東海大相模に粘られ同点に。15回表に1点を奪い、鹿実が勝利。投げ抜いた定岡は、甲子園のスターになった。
【沖縄】
●興南VS.報徳学園(2010年準決勝)/6-5
この年、決勝で東海大相模に圧勝し、沖縄県勢初の春夏連覇を達成した興南。もっとも苦しんだのがこの報徳学園(兵庫)戦だった。
興南はエース・島袋洋奨(現・ソフトバンク)が序盤でつかまり、2回までに0−5とリードを許すが、5回から打線に火がつき、7回には4本の長短打で逆転した。島袋は3回以降、無失点で切り抜けた。
今回、本企画のために集結した計6人の識者の間でも、どれが真の名勝負か、意見が分かれる場面が多々あった。「自分だけの名勝負」を選んでみるのも一興だ。
※カッコ内の球団名は、各選手が現在所属している、または所属していた球団。学校名は試合当時のもの
(週刊FLASH 2019年8月13日号)