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男・山根明、ボクシング新団体設立宣言「この子に賭ける!」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2019.08.07 06:00 最終更新日:2019.08.07 06:00
「リングに上がるのは、1年2カ月ぶりやな」
その男は慣れた様子でロープをくぐった−−。
7月27日、大阪府豊中市のボクシングジムに現われたのは、日本ボクシング連盟・前終身会長の山根明氏(79)だ。2018年8月、過去の暴力団との関係などを問われ、会長を辞任。2019年2月には除名処分が決まり「永久追放」となった。
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その山根氏が、自身が代表を務めるプロボクシングの新団体を設立するというのだ。新団体の名称は「WYBC(ワールド・ヤマネ・ボクシング・チャンピオンシップ)」。おのれの名前を冠にした独立団体として、復活の狼煙を上げる。
「本当はボクシングの『ボ』の字を聞くのも嫌やった。もう、アマチュアボクシングの人間関係には嫌気がさした。騒動のときは、自殺する寸前までいった。女房にも、これ以上ボクシングに関わることは止められてたんです。
でもね、高橋君という新鮮な子と出会って、若い世代に教育の一環として、ボクシングを指導することは必要じゃないかと。『そのために、独立団体を立ち上げることはできる』と思いました。新団体の設立は幸せなことです。『神がおったな』と思います」
「高橋君」とは、タイ発祥のプロボクシング「WSCS」世界ヘビー級で、日本人では唯一のチャンピオンである高橋知哉(31、BONECRASH所属)のことだ。
WSCSはリングが4メートル四方と狭いが、れっきとしたボクシング団体。WYBCも同様の団体になる。9月に予定される旗揚げ戦では、高橋がWYBCのタイトルをかけ、ブラジルの同様の団体「WNFC」との世界統一戦をおこなう。
旗揚げ戦に出場する高橋は、山根氏の心意気を感じている。
「日本ではマイナーなヘビー級で世界に挑戦できるのは、山根会長がこの団体を立ち上げてくれるから。9月の統一戦を、会長の復活の日にしたい」
2018年の辞任騒動では、山根氏に対する地方団体の、過剰に豪華な待遇も話題になった。だが新団体は、質素な事務所からスタートさせるという。
「電話1本と、ちょこっと椅子があったらいいんです。カッコつける必要はない。
教えるのはボクシングだけじゃない。ちゃんと生活できて、家庭も安定させる。結婚して子供の親として仕事もせんならん。人とのつき合いもある。そういうことを若い世代に教える。あとは僕から盗み取ったらいいです」
連盟を “追われた” 山根氏は現在、テレビのバラエティ番組に出演するなど、タレントとしての顔も見せている。
「テレビは、行くたびに勉強です。僕のやりやすいようにしていただいて、感謝しています。今後も、オファーがあれば出ます。団体の宣伝もしないとな」
10月には、80歳を迎える山根氏。「あと10年生きるつもりが、新団体設立で20年に延びた」と意気軒高だ。
「僕が死んだ後でも、いつかこの新団体からオリンピック選手が生まれたら、『男・山根』が本当に歴史になる、と思いました。残りの人生をこの団体で、高橋君ら若い世代に賭けるよ。僕の名前を、後世にきちっと残してほしいと思います」
リングに本気の「男」が戻ってくる。
写真・谷本潤一
(週刊FLASH 2019年8月20・27日号)