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瀬古利彦が本気予想「代表選考マラソン」東京五輪に出るのは?
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2019.09.14 06:00 最終更新日:2019.09.14 06:00
「一瞬も見逃せないと思うよ。今からワクワクするよね」
日本陸連マラソン強化・戦略プロジェクトリーダーの瀬古利彦氏(63)が目を輝かせる。
9月15日に開催される「マラソングランドチャンピオンシップ(以下、MGC)」は、マラソン東京五輪日本代表を決める大会で、男女ともに上位2名が内定。コースは東京五輪とほぼ同じだが、新国立競技場が建設中のため、スタートとゴールは別の場所、明治神宮外苑のいちょう並木になる。
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「2017年~2019年の日本陸連が指定した大会に出場し、定められたタイムと順位をクリアした選手だけが出場できます。これまでの代表選手は、男子の場合は世界陸上、福岡、東京、びわ湖の4大会の成績を比較検討し、選ばれてきました。
選考過程で遺恨が残ったこともありましたが、選手も正々堂々と代表になりたいもの。これまでの選考とはまったく違う“一発勝負”が実現できて、よかったと思います」(瀬古氏)
スポーツジャーナリストの生島淳氏(52)も、MGCの価値を評価する1人だ。
「近年の日本男子マラソンの躍進は、MGCの仕組みができたことが大きいです。選考レースを一本化することで、目標設定が明確になり、各選手がそれに向けて準備することができるようになりました。
それが結実したのが、2018年の東京マラソンでの、設楽悠太選手(27・Honda)による、16年ぶりの日本記録更新であり、同年10月、シカゴマラソンでの大迫傑選手(28・Nike)のさらなる記録更新なのだと思います。日本陸連のファインプレーですよ」
今回の出場選手は男子31名、女子12名。記録更新が続く男子の注目選手を、瀬古氏に挙げてもらった。
「大迫・設楽の両選手が、タイム的にも抜けているよね。2人は学生時代からよきライバルで、切磋琢磨してきた。大迫が福岡で2時間7分台を出したら、設楽は東京で2時間6分台を出した。
2人が日本のマラソンを押し上げてくれているんだ。大迫選手は42kmを自分の体と相談しながら、うまく走れる能力が高い。安定感があるよね。
一方、設楽選手は、何を考えているのかわからないところがおもしろい。我々の常識が通用しないからね(笑)。どんなレースをするのか予想がつかないですよ」
さらに瀬古氏は、2人を破る候補として井上大仁選手(26・MHPS)を挙げる。
「酷暑だった2018年のアジア大会で優勝したのは大きい。暑さの適応力もあるし、勝ち方を知っている。5000mも13分30秒台で走っていて、スピードもある。大迫選手と設楽選手を破るとしたら、井上選手だろうね。
あとは、服部勇馬選手(25・トヨタ自動車)。彼は最後の5kmが課題だったけど、福岡で克服して一気に覚醒した。力みや無駄な動きのない、素晴らしい走りをしていました。あの走りがもう一度できれば、彼は代表に選ばれると思います」
「この4人が頭ひとつ抜けている」というのは生島氏も同じ。レース展開はどうなるのか。
「私は設楽選手が30km地点、またはその前に飛び出して、レースを動かすんじゃないかと予想しています。持ちタイムが速いので、早めに仕掛けて、持ちタイムが2時間10分前後の選手たちを引き離せたら、勝つ可能性は高くなる。
この30km以降の急激なペースアップに対応できる選手は大迫、設楽、井上、服部、佐藤(悠基、32・日清食品)各選手。
32歳の佐藤は、2019年の東京マラソンでも、確実にMGCに照準を合わせ、あの極寒の気象条件の中で、どこまでアフリカ勢についていけるかという課題を持って挑んでいた。7月のゴールドコーストマラソンではハーフの部に出場して日本人トップ。おもしろい存在だと思います」(生島氏)
瀬古氏がさらにレースの見どころを語る。
「32km~34kmの皇居付近。2kmほど続くフラットな道だけど、まったく日陰がない。苦しくて体力を消耗すると思うので、数人がここで遅れるかもしれない。
36km過ぎからはダラダラと上っているし、最後1kmの外苑西通りの坂もきついよ。最後にスタミナが残ってないと登れない。“山の神” の神野大地選手(25・セルソース)が、『逆転満塁ホームランを打つ』と言っているし、大逆転劇もあるかもしれないね」
五輪切符を掴むのは誰か。号砲は近い。
(週刊FLASH 2019年9月24日号)