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笑わない男「稲垣啓太」とラグビー「ONE TEAM」の4年間
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2019.12.03 19:15 最終更新日:2019.12.03 19:17
12月2日、「2019ユーキャン新語・流行語大賞」が発表された。「軽減税率」「闇営業」「タピる」など10個の言葉が並ぶなか、年間大賞に選ばれたのは、ラグビー日本代表のスローガン「ONE TEAM」だ。
W杯決勝リーグに初進出し、かつてない盛り上がりを見せてきたラグビー界。流行語大賞には、日本代表の稲垣啓太選手の表情にちなみ、「笑わない男」もノミネートされていた。稲垣選手も、この「ONE TEAM」受賞をかみしめている一人だろう。
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稲垣は、11月下旬、母校での講演で「ONE TEAM」について語っている。
《いろんな人が集まるわけですから、考え方も当然違いました。最初は。それをいろんな衝突がありながら、良い文化を取り入れながらつくり上げたのがワンチーム。これがわれわれのチームカルチャーですね》(産経新聞、12月3日付)
稲垣自身、関東学院大学4年でラグビー部主将になったものの、チームは連敗続き。ついに31季ぶりの二部降格という苦い経験をしている。2015年9月17日の『スポーツ報知』では、当時を振り返って《部内もちぐはぐしていて、ラグビーから離れたかった。ストレスが原因で肺炎寸前になり、2、3週間動けなかった》と明かしていた。
好成績を残し始めたのは、社会人になってから。2014年には、2015ラグビーW杯の日本代表選手に選ばれる。
「ONE TEAM」というスローガンが生まれたのは、2016年秋からだ。2019W杯を勝利に導いたジェイミー・ジョセフ氏が、日本代表のヘッドコーチに就任するタイミングだった。
ジョセフ氏にとって初の試合となった、2016年11月のアルゼンチン戦は、短い準備期間や、ケガ人が続出したことで戦力不足の状態に。ガタガタだったチームをまとめるため、ジョセフ氏は主将たちと話し合い、「ONE TEAM」という言葉を選んだ。
しかし、このアルゼンチン戦、稲垣はケガのため代表から外されている。 ジョセフ氏のもと、「ONE TEAM」を合言葉にチームが一丸となるなか、稲垣はついに2019W杯で日本代表に選ばれる。
当時、自身のツイッターでは《選ばれた選手には責任が宿る。忘れてはいけないのは多くの選手達が関わり、みんなで作り上げたONE TEAMだという事。気合い入れていこうぜ。》(8月29日)と熱く語っていた。
「ONE TEAM」の流行語大賞の決定を受け、稲垣は「4年間作り上げたチームカルチャーが全国の皆さんに認知されてうれしい。一過性で終わらないように取り組んでいきたい」と語っている。笑わない男・稲垣啓太は、もう次の試合を見据えている。