12月16日、本誌は仙台市内の自宅前で阿部氏を直撃した。
――河北新報が報じた「職員」は、阿部さんのことですね?
「私じゃないですよ」
記者に見せたのは、余裕の笑み。続けて、「あとは弁護士が対応しますから」と言い残すと、車に乗り込んだ。
東北福祉大に事実確認を求めると、驚きの回答が。
――阿部氏が使用した高額な交際費や領収書の偽造について、お聞きしたい。
「本校財務部に確認したところ、本年税務調査を受けましたが、是正を指摘されたことはありません。担当の公認会計士や税理士からも、交際費について指摘を受けたことはないので、問題ないと認識しています。
偽造に関しても、職員などから聞き取りをおこないましたが、架空経費や個人的な飲食は見当たりません」
――松山選手の応援に、大学の経費が使われていると指摘する声がある。
「卒業生であり、本校のコーチも務めている松山英樹氏は、本校の知名度に高く寄与されており、最大限のバックアップをしています。業務の一環として、学内手続きを踏んだうえで渡米しております」
――阿部氏の息子の会社が、大学施設を無償利用している。
「セミナーハウスに空きがあり、事務スペースとして提供しました。松山氏からは、今までに数千万円を寄付していただき、家賃相当額以上の財産をいただいています」
本誌が阿部氏を直撃した翌日の17日には、理事会が開かれ、そこで阿部氏が「(報道された交際費は)大学のブランド力を上げるために宗門関係者、スポーツ関係者、理事らと食事をした」と弁明。問題視する声はなかったという。
「大学のブランド力を上げるために、何度も銀座に行く必要があるのか。いま、大学ではコンプライアンスがきいてない。だから、多額の交際費も不問に付されてしまう。
今回の騒動を受けて、教員やOBを中心に『東北福祉大学の未来を憂う者』という会ができました。メンバーは、文科省だけでなく、県警捜査二課や記者クラブにも告発文書と証拠を送っています。
ただ、阿部氏は将来、総務局長の座を狙っており、報復を恐れて声を上げられない人が多い。今回が、大学正常化の最後のチャンスなんですが……」(同大の元教授)
松山の活躍が、母校を蝕む恩師の “力の源” になっているとしたら、皮肉としか言いようがない。
(週刊FLASH 2020年1月7・14日号)