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安治川親方が一月場所を解説「白鵬は大栄翔に苦しめられる」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2020.01.12 06:00 最終更新日:2020.01.12 06:00
1月12日に初日を迎える、大相撲一月場所。世代交代が進むなか、抜け出すのはどの力士か――。稀代の業師として活躍し、2019年に引退した元「安美錦」の安治川親方(41)が、激動が予想される2020年の角界を占う。
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「一月場所の注目は、やはり新関脇の朝乃山(25)でしょう。昨年の十一月場所では、新三役の小結で11勝。正直なところ、あとひとつは勝ってほしかった。とはいえ、次の大関候補の一番手であることは疑いなく、いずれは “その上” まで狙えると、みています」
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朝乃山のよさは、「まず正攻法でいくところ」だという。
「相手が何をしてこようとも、とにかく前に出ていく。攻める気持ちで相撲を取っているので、流れがとてもいい。
『右四つ』という得意の型はありますが、頭から当たっていくこともできるし、まわしが取れなくても、どんどん前に出ていきます。上半身の柔らかさがあるのもいいですね。
2019年は初優勝と年間最多勝(55勝)で、頭角を現わした1年でしたが、まだまだ伸びしろはある。真面目な性格で、稽古でも土俵の上でしっかり汗をかいていると聞いています。
押し相撲が多い昨今の相撲界で、ああいう正統派の四つ相撲というのは、日本人力士では久々に出てきたタイプ。かつての魁皇関(現浅香山親方)のように、まわしを取ったらもう負けない、そういう力士になりつつあります。
早めに大関に上げても大丈夫。大関に上がれば、さらに自信をつけて、地力をつけていくタイプでしょう」
朝乃山とともに大きな期待をかけるのが、新小結の大栄翔(26)。
「こつこつと稽古を重ねる姿を巡業でも見ていて、『いずれは上がってくるだろう』と思っていました。体も大きくなり、肩幅も広がって、いい体つきになってきましたね。
誰が相手でも思い切り当たっていき、勝っても負けても、自分の相撲を取り切るのが素晴らしい。ぶれずに自分の相撲を取ればいい。
そのよさが出たのが先場所、白鵬から挙げた金星。相手が上であるほどいい相撲を取れる、そんな力士だと思います。今年また、白鵬をはじめ上位陣は手を焼きますよ」
一方、実力を発揮しきれていない力士も……。
「阿炎(25)は、4場所連続の小結。ずっと勝ち越しているのに番付運に恵まれず、今場所も関脇には上がれなかった。期待している力士の一人なんですが……。
阿炎のいいところは、『思い切りのよさ』に尽きます。叩くにしても、横に動くにしても、突っ張るにしても、とにかく思い切りがいい。もっと押す力をつければ、大関も狙える存在でしょう。
そして、師匠・錣山親方(元寺尾)のような回転のいい突っ張りを身につければ、相撲の幅が広がるはずです。まだまだ、伸びしろがある力士ですよ」
もちろん、“人気者” からも目が離せない。
「いまや、角界一の人気者となった炎鵬(25)も楽しみです。今場所は前頭五枚目まで番付を上げてきたので、横綱・大関との対戦があるかもしれません。豪栄道や高安にとっては、やりにくい相手でしょう。
炎鵬のよさは、最後まで諦めない姿勢。ああいう相撲を見せれば、お客さんは喜びますよ。そして相手をかわすだけではなく、しっかりと向かっていくこと。
相手は炎鵬の動きを警戒しているぶん、どうしても重心が後ろになってしまう。そこをうまく押すことができれば、押し出すことができるわけです。最近は、その押す力もついてきました。上位との対戦が楽しみです」