先場所、大関獲りに失敗した御嶽海(27)には、あえて厳しい言葉を向ける。
「肝心なところで甘さが出てしまうのは、『やはり稽古の積み重ねが足りないのでは』と思ってしまうんです。
すでに優勝2回、3年近くも三役を守ったわけですから、力が足りないわけじゃない。もっともっと自分を追い込んでいく、そんな姿勢を見せてほしいと思います」
大関・貴景勝(23)の怪我続きも気になるところだ。
「なぜ怪我をするのか、ちゃんと考える必要があるでしょう。『もっと、土俵での稽古を増やしたほうがいいのでは』と、私はみています。
筋トレを取り入れている力士は多いですが、じつはデメリットもあるんです。筋トレでの疲労が残れば、土俵での稽古はどうしても少なくなります。そうなると、筋力はついても、腱や筋などは鍛えられない。それが、怪我の連鎖を生むとも考えられるのです。
『やはり、土俵の中で動く相手と稽古を積むのがなにより大事だ』と、私は思います」
さて、これからの活躍が期待できる十両は?
「期待が大きいのは、佐渡ヶ嶽部屋の2人、琴ノ若(22)と琴勝峰(20)です。ともに体つきがいいし、がむしゃらに前に出て、攻める相撲を取っているのが評価できます。近いうちに幕内に上がって、大暴れしてほしいですね。
それから今場所、弟弟子の照ノ富士(28)が十両に復帰しました。膝の怪我に病気が重なり、大関から序二段まで番付を落としてからの、関取復帰です。
落ちていく姿を目のあたりにしたときは、正直なところ『もうダメなんじゃないか』と思ったこともありました。しかし、師匠が励ましつづけて、本人も努力を重ねてきたことで少しずつ体調が戻り、体に張りが出てきました。
あの状態からよくここまで回復できたと思います。『よく頑張った』としか言えません。ようやくスタートラインに戻ったところですが、ぜひ注目してもらえたらと思います」
最後に安治川親方が、力士たちに檄を飛ばす。
「とにかく大事なのは、お客さんに喜んでもらえる相撲を取ることです。お客さんに笑顔で国技館から帰ってもらう、それがプロの仕事だと思っています」
(週刊FLASH 2020年1月21日号)