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箱根駅伝「ナイキ旋風」の裏でミズノが極秘の逆襲作戦

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2020.01.12 19:28 最終更新日:2020.01.12 19:29

箱根駅伝「ナイキ旋風」の裏でミズノが極秘の逆襲作戦

ミズノの靴を履いた嶋津選手(写真:松尾/アフロスポーツ)

 

 1月2日、3日におこなわれた第96回「箱根駅伝」。青山学院大学が2年ぶりの総合優勝を果たしたことは記憶に新しいが、陸上競技に詳しくない人でも、ピンクと緑の「ナイキ」のシューズがランナーたちの間で大流行していたのは耳にしているのではないか。

 

 

 今回の箱根駅伝では、出場ランナーのうち約85%がナイキの「ヴェイパーフライ ネクスト%」を着用していた。これまで「アディダス」のサポートを受けていた青山学院大学の選手たちも、全員がアディダスのシューズから「ヴェイパーフライ」に履き替えて出走。結果として総合優勝を勝ち取った。

 

「ヴェイパーフライ」は、クッション性のある厚底のソールに、反発を受けやすいカーボンプレートが入っていることで速く走れると言われている。

 

「2019年の箱根駅伝、9月のマラソン・グランド・チャンピオンシップでナイキのシューズを履く選手が多かった印象はありましたが、今回のように群を抜いてシェアを独占するのは驚きでした。それほど、選手たちはこの靴の優位性を感じているということでしょう」(陸上ライター)

 

 実際、区間賞を獲得した選手10人のうち、9人が「ヴェイパーフライ」だ。

 

 唯一、それ以外の靴で区間賞を獲得したのは、創価大学の10区・嶋津雄大選手(4年)だった。嶋津は区間賞だけでなく、従来の区間記録を19秒更新。タスキを受けた時点で11位だったチーム順位も9位に押し上げ、創価大に初めての箱根駅伝シード権をもたらした。

 

 その嶋津の足元に注目すると、なんとロゴも何も入っていない謎の「白シューズ」を履いている。足袋のようなハイカットは今までのランニングシューズでほとんど見たことがなく特徴的だ。

 

 大会では数人の選手がこの奇妙な「白シューズ」を着用していたが、詳細は語られていない。ただ、「ミズノが作っているらしい」という噂が一人歩きしていた――。

 

 そこで、ミズノ広報にこの「白シューズ」について問い合わせると、「あれはミズノの “プロトタイプ” のシューズです」と初めて公に答えたのだ。

 

「ナイキのシューズに対抗するため、開発を早めてプロトタイプを投入し、事前の試し履きテストでも高い評価をいただいてました」とミズノ広報は明かす。箱根駅伝で7選手が着用したという「白シューズ」は打倒・ナイキへの秘策ということだ。

 

 ナイキの「ヴェイパーフライ」は、反発性の高いカーボンプレートで一世を風靡しているが、「白シューズ」も「反発性の高さが特徴」という。ただし、カーボンプレートは入っておらず、ミズノが独自に開発したプレートや新素材を採用しているという。

 

白シューズ(ミズノ提供)

 

 かつて放送されたドラマ『陸王』(TBS系)を彷彿とさせる “足袋ふう” デザインにした理由については、「開発品のため、これ以上の詳細はお伝えできません」とのこと。だが、その性能については相当な自信を持っていることがうかがえる。

 

「創価大学の嶋津選手が従来の記録を大幅に塗り替える区間賞を獲得したことで、シューズのパフォーマンスが実証され、自信を持つことができました。

 

 昨年12月におこなわれた全国高校駅伝でも、全員が弊社のシューズを使用した九州学院高校が予選から大きくタイムを伸ばして4位に躍進しています。

 

 プロトタイプのため使用選手はまだ少ないですが、新モデル発売に向けた開発を進めるうえで、確実な手応えを感じています」(ミズノ広報)

 

 今年の夏ごろには発売を予定しているという。ナイキがほぼ独占状態のランニングシューズ市場で、国産メーカーの逆襲が始まった。

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