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キャンプイン直前、菅野智之が上野由岐子の金言に「はいっ!」

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2020.02.01 06:00 最終更新日:2020.02.01 06:00

キャンプイン直前、菅野智之が上野由岐子の金言に「はいっ!」

上野から助言を受ける菅野

 

 1月18日、巨人・菅野智之(30)の姿は、福岡県・久留米球場のマウンドにあった。陽は途切れ途切れで、雨もグラウンドを濡らす。気温は5度ほどだ。

 

 巨人の投手陣を引っ張る存在である菅野は、例年どおりなら、まだ自軍の若手選手たちと暖かいハワイで自主トレを続けているはず。

 

 

 ハワイを1週間早く切り上げ、久留米に来たのにはわけがある。いま、スポーツ界を席巻するトレーナー・鴻江寿治氏(53)が主催する「鴻江スポーツアカデミー」(KSA)の合宿のためだ。

 

「菅野は、東京五輪に向け、並々ならぬ思いを抱いている。だが、昨季は腰の怪我もあって、本調子とはいえなかった。『そんな自分を変えたい』という危機感を抱いて、今年初めてKSAの合宿への参加を決めたそうです」(巨人担当記者)

 

 グラウンドには、ソフトバンクのエース・千賀滉大(26)の姿も。総勢20人のプロ野球選手が合宿に集まった。

 

「千賀は、プロ1年めである2011年オフから鴻江氏に師事し、育成出身ながら、球界を代表する投手に。その姿を見て、多くの選手が『鴻江氏に教えてもらいたい』と集まり、だんだんと大所帯になったんです」(ソフトバンク担当記者)

 

 球界で “鴻江塾” とも呼ばれるこのKSAでは、鴻江氏が提唱する「骨幹理論」に基づいて、体のバランスや骨格などからアスリートを「うで体(猫背タイプ)」と「あし体(反り腰タイプ)」に分類。選手たちは、自分がどちらのタイプかを認識することで、怪我をせずに、最大のパフォーマンスを発揮できる体の使い方を学んでいく。

 

 1月13日からおこなわれた合宿の練習メニューは、朝10時からのウォーミングアップに始まり、坂道の下りダッシュ、キャッチボール、ノック、ピッチング。この同じ練習メニューを6日間続ける。

 

 一見地味なメニューだが、合宿の最大の特徴は、この後にある。夕食後、昼間撮影した投球フォームの映像を、鴻江氏が解析し、アドバイスを送る。そして、選手同士もフォームについて議論を交わす。

 

「夜中まで話し合って、翌日は8時に起床。酒を飲む暇なんてないし、選手たちは『なにかを掴んで帰ろう』と、真剣そのものでした」(同前)

 

 その “夜間練習” で、鴻江氏と並んで大きな存在感を示していたのが、ソフトボール日本代表の上野由岐子(37)だ。

 

 鴻江氏と上野のつき合いは、2008年の北京五輪以来。「413球の力投」で金メダルを獲得した上野は、五輪本番前に鴻江氏から助言を受けた、“愛弟子” なのだ。

 

 菅野は、今回の合宿参加にあたって、「上野さんから『こいつ、うっとうしいな』と思われるくらい話が聞きたい」と話していた。

 

 1月17日の夜、菅野が「怪我もあってフォームを変えなければ……と思っているんです」と上野に相談する場面があったという。「今年は本当に変えるときだと思うよ」と声をかける上野。

 

「でも、なかなか難しくて」(菅野)
「菅野君、それでも変えていかなきゃダメ。やってみないと。ダメなら元に戻せばいいんだから」(上野)
「はい!」(菅野)

 

 そんなやり取りをした翌日。マウンドで投げ込む菅野は、体を少しひねってから左足を上げる、“新フォーム” に挑戦していた。

 

 上野は千賀にも、経験から、こうアドバイス。

 

「(ノーヒットノーランを達成したが)もっといろんな打たれ方をして、もっといい投手、勝てる投手になってほしい」

 

 プロ野球のエースたちが上野に頭を下げ、教えを乞うていた。そんな上野自身の “復活” も気になるところだが……。師匠の鴻江氏は、太鼓判を押す。

 

「『負荷をかけている感覚はないのに、球はびっくりするくらい走っていた』と上野も言っていた。『北京五輪のころに戻れた』と話すほど、手ごたえがあったようです。(東京五輪では)最高のパフォーマンスが生まれると思います」

 

 ソフト界のレジェンドは合宿後、2人にこうエールを送る。

 

「トップとして追われる立場、地位を背負ったものにしかわからない感情、感覚的な話ができた。日本を背負っていく、地位を上げる投手になってほしい」

 

 その金言を胸に、“日本のエース” の座を巡る、菅野と千賀の切磋琢磨は続く。以下の関連リンクでは、KSA合宿の様子を公開する。

 


(週刊FLASH 2020年2月11日号)

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