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イ・ボミを賞金女王に育てあげた「大学1年のときの悔し涙」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2016.07.15 06:00 最終更新日:2016.07.29 19:19
イ・ボミは韓国・京畿道にある水原市で高校時代を過ごしている。韓国のスポーツ新聞で20年近くゴルフを担当し、現在はインターネットメディアの代表を務めるイ・ガンレ氏が言う。
「京畿道にはゴルフ場や練習場、そこで開校されている有名レッスンプロたちのアカデミーが多いことから、『ゴルフ教育の最先端学郡』といわれ、京畿道出身のプロも多い」
イ・ガンレ氏によると、イ・ボミは高校時代から明るく礼儀正しかったという。
「練習熱心で、大会中でも日が暮れるまで練習していました。イ・ボミはお父さんが物心両面でサポートされていました。そのお父さんは亡くなってしまいましたが、プロになって彼女なりに親孝行ができたのではないでしょうか」
元ゴルフダイジェスト副編集長で、現在ネットメディア「ヘラルドスポーツ」編集長のナム・ファヨン氏が、プロ転向直後のイ・ボミは地味な存在だったと言う。
「イ・ボミと同じ1988年生まれは、キム・ハヌル、シン・ジエ、パク・インビなど錚々(そうそう)たる顔ぶれ。それに比べると、イ・ボミは目立たない存在でした」
ただ、そんなイ・ボミに注目していた人物がいた。韓国私立大学の名門・建国大学のゴルフ部監督だったパク・チャンヒ教授だ。
「あるプロアマ大会で、高校3年生のボミを初めて見たとき、ゴルフに対して真面目で誠実な姿に惹かれ、スカウトしようと両親を訪ねました。プロ転向を決めていた彼女に、『大学に籍を置き、専門的な知識を学びながらプロ生活を送るのも悪くない』と口説き落としたのが、まるで昨日のようです」
当時、建国大学はスポーツに力を入れており、2004年に韓国・忠州市にあるキャンパスにゴルフ指導専攻科を新設。2007年、イ・ボミもそこに籍を置くことになった。パク・チャンヒ教授が説明する。
「実技や理論はもちろん、体調管理に運動生理学、メンタルトレーニングに心理学まで、ゴルフに必要なさまざまなことを学びます。ボミらプロ生活と並行していた生徒たちには専属コーチがいるので、技術面には関与せず、科学的で体系的なゴルフ理論を叩き込む。ボミも試合がない日は、キャンパスに通い、熱心に勉強していました」
パク・チャンヒ教授が忘れられない思い出がある。彼女が大学1年生の冬のこと。プロ1年めを下部ツアーで過ごしたイ・ボミはシード権を獲得できず、1部昇格を果たせなかった。それが悔しくて、研究室で大粒の涙を流して泣いたというのだ。
「私は、むしろよかったのではないかと助言しました。悔しさを知っている選手のほうが強くなれるし、それを乗り越えることができれば自信になる」
パク教授はそう励まし、彼女は発奮する。そのおかげで、2008年に2部ツアーで賞金女王に輝き、翌年から1部ツアーへと昇格した。そして、2010年にKLPGA賞金女王に輝き、2015年には、男女を含め日本ツアー史上最高額での賞金女王となった。イ・ボミの活躍はまだまだ続く。
(週刊FLASH 2016年7月26日号)