世界中が外出制限を続けるなか、アパートのテラス越しやテレビ会議システムなどを通して、それぞれが自宅にいたままでの音楽コラボレーションが次々と生まれている。
レディー・ガガは、WHOなどとともにこれまでで最大規模となる「One World : Together at Home」を4月19日に開催した。医療現場の最前線で働く人たちへの感謝とサポートを目的としたチャリティで、コンサートは8時間に及んだ。
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この様子はアップルやアマゾン、ツイッターなどオンラインプラットフォームやテレビ局で放映され、歌を集めたアルバムも作成されている。
驚くのは、参加メンバーの豪華さだ。
アメリカの人気番組のホスト3名が司会を務め、レディー・ガガがナット・キング・コールの『スマイル』を弾き語りで歌う。ベッカム夫妻が庭から演奏するエルトン・ジョンを紹介し、スティービー・ワンダーやポール・マッカートニーらが続く。
ローリング・ストーンズは4人が違う場所から共演、ドラムはエアドラムなのに味がある。キース・アーバンは1人で3つの楽器を弾きながら自分自身とコラボし、歌い終わったところに妻のニコール・キッドマンが画面に加わった。
テイラー・スイフト、ジェニファー・ロペス、ビヨンセ、そして、グラミー賞で最多ノミネートを受けたリゾなども普段とは違った一面を見せる。歌手だけではなく、オバマ前大統領夫人やブッシュ元大統領夫人、ビル・ゲイツ夫妻など70名以上が出演していた。
なお、日本からは、大坂なおみが世界の偉人の言葉を朗読し、感謝の言葉を述べている。
特別なライティングやサウンド効果もないなかで、トップアーティスト達の実力と迫力が存分に伝わった。番組中にチャリティの呼びかけはしなかったものの、翌日には128ミリオンドル、およそ140億円が集まった。
一方、U2のボノは新型コロナウイルスで大きな被害を受けているイタリアに捧げた新曲『Sing For Life』を発表した。こちらはYOSHIKIに声をかけ、彼のピアノ演奏に、ウィル・アイ・アムやジェニファー・ハドソンがコラボに加わった。
YOSHIKIは、最近イギリスのBBCから生中継インタビューも受けている。通訳なしで数分間、音楽業界への10万ドルの寄付、日本の状況や自殺したバンドメンバーについて触れ、人々の支えになりたいと語っていた。
国境のない音楽は、ネット時代、さらに垣根が低くなっている。日本からももっとこうした動きが盛んになってほしいと思う。(取材・文/白戸京子)