セクシー女優にとって避けて通れない「家族」の問題。そんなセンシティブなテーマに、正面から取り組んだ書籍『AV女優の家族』が話題だ。レジェンド女優の板垣あずさが、知られざるエピソードを語る――。
板垣のSNSには、4歳のひとり息子とのツーショット写真がアップされている。彼女は現在、子育てに奮闘中のシングルマザーだ。
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「制コレ」へのノミネートをきっかけに、子供のころからの夢だった芸能界へ。高校を卒業し、新潟から上京したところで、知人だったスカウトマンから、AVのスカウトを受けた。実家は両親と姉・弟の5人家族で、しつけに厳しい家庭に育った。
「デビューするころに、たまたま親と連絡をとることがあったので『こんなに秘密にして、モヤモヤするくらいなら言っちゃえ!』と思って、カミングアウトしちゃいました(笑)。そのときの反応はスゴかったです。
母親は、ものすごい剣幕で『事前に言わないで(AVの仕事を)やったのが、すごく気に入らない』って。1年くらいは口をきかなかったですね。
父は『週刊プレイボーイ』に、私のAVデビューの告知が掲載されているのを見て、気づいていたらしいです。『体、壊すなよ』的な感じでした(笑)」
7歳年下の弟は、当時11歳。思春期に差しかかっていた弟は、彼女の仕事についてどのような反応を示したのか。
「『姉ちゃんのDVD、送ってもらえよ』とか、同級生にイジられていたっていうのを、だいぶ後になってから聞きました。適当に『はいはい』って感じで、受け流すようにしていたみたいです。そんなことがあってもへんに曲がらないでいてくれて、そこは弟に感謝かな、と思いますね」
ただし、姉のほうは「めっちゃうるさかった」という。
「両親より、うるさかったですよ。嫌いなんです、そういうの。『いかがわしいっ!』って感じで(笑)。
お姉ちゃんも、キャバ嬢やったりしてたんですけどね。でもなぜか、風俗系とかAVとかに関しては『あり得ない、気持ち悪い』みたいな拒否反応がありました」
AV女優として活躍するさなかに、妊娠が発覚する。
「生まれる1カ月前、電話で母に『生まれる』って言ったら、AVのことを話したときより、びっくりしてました(笑)。『父親は、どうなってんの?』『ひとりで、そっちで育てる気なの?』と、あまりにいろいろ聞かれるので『生まれるまで、ちょっと待って』って(笑)。
父のほうは、すでに私のそういうことには驚かなくなってました。とりあえず無事に生まれればいい、みたいな」
息子には将来、自身の仕事について話すのだろうか。
「抵抗はないです。むしろ、話しておきたいかな。悪いことしてるわけじゃないし。『あわよくば尊敬してほしい』って思ったりもします(笑)。息子には、『チャラくなるなら、カネの稼げるチャラ男になれ!』って、ずっと言ってます」
驚かされ続けた家族だが、いまでは「自由もほどほどに」と言いながら、みんなで彼女を応援してくれているという。
いたがきあずさ
1988年11月23日生まれ アイドルに憧れ上京、スカウトをきっかけに'04年にグラビアアイドルデビュー。同年「制コレ」にノミネートされる。2007年にAVデビューし人気を博すも、2010年に引退。2012年に復帰し、活動再開。26歳で妊娠、1児をもうけた
取材&文・寺井広樹
※『AV女優の家族』は光文社新書より発売中
(週刊FLASH 2020年7月21日号)