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コロナ禍で、アメリカの大学に外国人が入りやすくなる可能性
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.06.18 19:00 最終更新日:2020.06.18 19:00
新型コロナの影響で、アメリカでは来年の大学受験の仕組みが、大きく変わろうとしている。
アメリカの大学受験の時期は学校によってまちまちだが、願書提出の多くが年末から年明けに集中し、学生は4月末には進学校を決定する。
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そうしたなか、大学ランキングトップ100のうち85%の大学が、2021年の受験にテストスコアの提出を任意にすることを決めた。簡単に言えば、試験を受けなくてもいいということだ。
アメリカの大学受験では、SATまたはACTという共通テストの点数を大学に提出するのが普通である。いずれも年に7回おこなわれ、高校生は願書を出す1年前から2〜3回テストを受け、そのなかで高得点のものを受験提出用に選ぶ。
しかし、新型コロナの影響で、このテストスケジュールに大きな影響が出てしまった。そのため、提出は任意の「オプション」となったのだ。
6月15日にオプションと決めたハーバード大学は、こんなコメントを発表した。
「ハーバードは受験生の人間性すべてを見ている。テストスコアはその一部に過ぎない。高校生活や地域活動、就業経験などで成し遂げてきたことも大切だ。テストスコアを提出しなくても不利にならないから、これまでの成果やこれからどんなことができるかがわかる資料を提出してほしい」
SATやACTのテストについては、以前から不公平だとの声があった。貧しい家庭に比べ、裕福な家庭は塾に通ってよりよい点数が取れる。人種によってテストスコアに違いが出るといわれるし、そもそも、テストの点数が大学に入ってからの成功を保証するものではない。
大学側はテストを必須としないことで、多くのバックグラウンドを持った受験生を獲得できるようになる。このため、シカゴ大学のように、コロナ禍以前からテストスコアを見ないと宣言している大学も増えていた。
このことは、日本人に朗報となる。英語を母国語としない受験生にとって、英語で受けなくてはならないSATで高得点を出すのは大きな課題となっていたからだ。
外国の大学を目指す受験生にとって、新型コロナの禍が転じて福となす可能性が出てきたことになる。