夜バナ
55歳300人切りオヤジ、キャバクラで女の子を落とせるか(13)
![55歳300人切りオヤジ、キャバクラで女の子を落とせるか(13)](https://data.smart-flash.jp/wp-content/uploads/2016/04/30210009/kyaba.jpg)
写真:AFLO
【これまで】
55歳で300人切りオヤジ、いま狙っているキャバ嬢は「えりこちゃん」と「みなきさん」である。いったいどっちと先に最後までたどり着けるのか。
えりこちゃんとは、先日2人カラオケでキスまで果たした。そして、みなきさんとは1度テニスをしたあと、シャワーを浴びにホテルまで行った。このときは紳士らしく手は出していない。焦りは禁物だ。さて今回は――?
※
えりこちゃんを今後どう攻めるか考えていた。カラオケもだんだんマンネリ化している。何か新しい仕掛けを考えないといけない。とりあえず「あっち向いてホイ」ゲームをカラオケの途中に入れよう。レートを高くしてエロさもアップだ。ついでに電マも用意しておこう。
さっそくラインでお誘いメールだ。少ししてスマホがチャランと鳴った。返信だ。しかしメールはみなきさんだった。彼氏と仲直りしたというメールだった。
「よかったね」と返信。
「ありがとう」と絵文字入りのメールだ。うれしそうだなと感じた。女の子を攻めるチャンスは、心がマイナスに動いたときだけではない。うれしいことがあったときも心にスキができる。今日もチャンス日だ。さっそく「今日は店入る?」のメールを入れた
「入るよ。10時まで」
「9時にいくよ」
「アフターできる?」
「いいよ」
仕事を終えて9時にお店に。「みなきさんを指名で」と店員に。みなきさんが来て「この前はありがとう」と言ってくれた。明らかにウキウキしている。彼氏とうまくいっているんだとすぐわかる笑顔だ。
彼氏との話を切り出そうと思ったが、お店での会話は仕事の話に限定している。雑談はアフターで食べ物屋、プライベートはカラオケ屋の密室でする。女の子もこれがわかってくると合わせてくるので、話が進みやすいのだ。
ここでは予定通り仕事の話だけして、そこでチェック。
「外で待ってるから」と先に出た。
「おまたせ」
笑顔が眩しい。
前回は居酒屋1時間、カラオケ30分だった。23時30分の終電がうらめしい。今日はラーメン屋30分、カラオケ1時間にしよう。密室の時間を少しずつ長くしたほうがいい。
ラーメン屋でTVドラマの話をしてチェック。そしてカラオケボックスへ。すでにカラオケの密室については何の違和感もなく時間を過ごせるまでになっていた。
3曲歌ったところで、「彼と仲直りできてよかったね」と持ちかけた。待っていたかのように「彼が『僕が悪かった』って、このネックレスくれたの」と言った。
「よく似合うね」
「ありがとう」
同伴で喧嘩になって、お詫びにもらったネックレスを同伴相手に自慢している。女は怖い。以前には「彼の浮気が許せない」と自分の浮気相手である僕に怒ってくる女の子がいた。「お前も同じだろう」と言うと「私はいいの」と言った。やっぱり女は怖い。
よし、話を進めよう。
「この前はシャワーなくて困ったよね」
「まさかホテルに行くとは思わなかったわ」
「実は前にも使ったことあるんだ」
「そう」
「シャワーが壊れてるとき、ホテルという方法があると友達が教えてくれた。ホテルなら風呂も入れるし、疲れを癒すためにベッドもある」
「それはそうだけど」
「密室という点ではカラオケボックスも同じだよ。ホテルにもカラオケあるから、カラオケのVIPルーム、ということだよ」
みなきさんは、くすりと笑った。
「この前はストレス解消テニスだったけど、今度はうきうきテニスってどう?」
「いいよ」ノリがいい。
「じゃ次の日曜日の2時に駅で」
「またこの前と同じコート?」
「他のコートは知り合いが多くて、人目が気になる。我慢して」「またホテル?」と彼女が言った。
「何もしないから」
「ホント?」といたずらっぽく笑う。
「この密室でも何もしないだろ」
「ホテルもこの部屋も同じだよ」
「わかった」
「今度は帽子を買っておくよ。サイズは?」
「47」
帽子を買うのは、靴と同様にキャンセル防止もあるが、もうひとつある。帽子は変装や顔を隠すときに使うことがあるので、密会のイメージを作りたいからだ。このイメージが2人の距離をさらに縮める。
最後に1曲ずつ歌って今日は終了。日曜が楽しみだ。
(続く)