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世羅高校と青学大「駅伝日本一」の指揮官が特別対談
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.01.01 12:00 最終更新日:2017.01.01 12:00
全国高校駅伝で最多9回の優勝を誇る広島県立世羅高校。2015年は男女同時に日本一となり、さらに大会記録を更新する快挙をなしとげた。
人口1万7000人の田舎町の学校はなぜこんなに強いのか? チームを率いる岩本真弥監督が、近著『駅伝日本一、世羅高校に学ぶ「脱管理」のチームづくり』(光文社新書)でその秘密を語っている。
ここでは、その本から、箱根駅伝2連覇を果たした青山学院大学陸上競技部・原晋監督との特別対談をお送りする!
―― お2人は出会って35年が経ちますが、岩本監督が原監督の1年先輩なんですね。
岩本 高校時代、私は原さんによくいじめられましたよ(笑)。
原 何をおっしゃいます!
岩本 私は優等生だったから真面目に練習してたけど、原さんはサボってばかり。
原 いやいや、私がいつも先輩の後ろを追っかけてたんですよ(笑)。岩本先生は当時から大エースで尊敬する先輩でした。
岩本 それにしても高校時代はきつかったね。どうやってサボるか、原さんにはいろいろ教えてもらったよ(笑)。
原 当時はテレビも観られないし、風呂も自由に入れませんでしたから。あと、後輩が先輩のマッサージをするという習慣もありました。それが延々2時間も3時間も……マッサージをしているうちにいつの間にか先輩は寝ちゃうんです。それで手を止めた瞬間に「なに止めとるんじゃ!」って……そういうところだけ敏感だったりするんですよ(笑)。
岩本 当時は日本全国そうだったみたいだね。どこの学校の生徒に聞いても、それに近いことを言ってたから。体育会系という誤った精神主義が横行していた時代ですよ。
原 そもそも「体育」というものの考え方が軍国主義の流れの上にありましたからね。
岩本 あと、食事もひどかった(笑)。昔の寮だから栄養管理みたいな考え方がまったくなかった。
原 当時は「水飲むな」の時代ですよ。水すら飲んじゃいけないのに、アスリートの栄養のことなんて考えられるわけがない。
岩本 そう、練習が終わっても「水で身体を冷やすな」って言われてた時代だからね。食事も晩御飯のおかずがイワシ1匹に粕汁とか。弁当のおかずはサバの缶詰とか、まぐろフレークにかまぼこだけとか。あ、レギュラーになると大会のときはウインナーと卵焼きが入ってたな。よそへ持っていくから寮母さんも気を遣ったんだろうね(笑)。
――誤った精神主義が横行していたんですね。
岩本 でも今、あのときの練習をやらせたら選手はみんな辞めるだろうね。当時は寮生活もトレーニングもハードだったから。
原 我々はそこが共通の原体験としてあるんですよ。とにかくきつい練習をやらされて。今もそのやり方を引き継いでいたら、我々の方向性は時代に合っていなかったと思うんです。だけど我々はそれを経験した上で、それとはまったく違う方向に舵を切った。そこにも共感し合える部分があるんです。