社会・政治
シャープの救世主?鴻海会長は「サムスン大嫌い!」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2012.09.14 07:00 最終更新日:2016.03.01 23:11
「我々と御社が組めば、サムスンに勝てるんですよ」 米国のアップルをはじめ、世界ブランドの電子機器生産を一手に担う台湾の精密機器メーカー・鴻海精密工業の郭台銘会長(61、英名・テリー・ゴウ)はシャープ幹部にそう持ちかけた。
「シャープは創業100年という節目の年に、経営危機に直面している。’12年3月期に過去最大の最終赤字を出し、今期も赤字見込みで資金繰りは逼迫状態。そこに今年3月、資本業務提携を持ちかけたのが郭会長で、シャープにとっては”救世主的存在”です。彼は、堺工場については早々に個人資産から660億円を出資した。そこまでは良かった……」(経済紙記者)
次はシャープ本体への出資が期待されたが、肝心の話はなかなか進まなかった。8月30日、来日中の郭会長が会見を行うという情報が流れた。提携話に進展ありかと多くのメディアが駆けつけたが、彼はその会見をドタキャンした。年商約10兆円の大企業を一代で築き”現代のチンギス・ハーン”と称される郭会長はシャープにとって、味方なのか敵なのか。
郭会長はライバル、サムスンに対して「日本人は後ろから刺したりしないが、韓国人は違う」と言っている。傘下の液晶メーカーがカルテルで莫大な課徴金を課された際、情報を当局に流したサムスンは全額免除になった。以来、目の敵に。それが冒頭のコメントにも現れている。
マスコミ嫌いの郭会長への単独取材に何度も成功しているジャーナリストで産業アナリストの大槻智洋氏はこう言う。
「郭会長は、一つの論点をあの手この手でとうとうと説得しつづけます。提携への合意がなかなか進まないのも、シャープ側は本当に納得していいものなのか、困っているのかもしれません。ただ、社長として、彼以上の人物はいません。くぐり抜けた修羅場が違う」
若いころから製造機械を買うため何度か来日していた郭会長は、安くて早い牛丼が大好きだったようだ。現夫人の祖母は日本人ということもあり、親日派でもあるという。シャープ100年目の先は自滅か変革か。もはや待ったなしだ。
(週刊FLASH 2012年9月25日号)