今年の4月に9年間在籍した乃木坂46から卒業をした北野日奈子。7月には舞台でヒロインを演じ、9月からはドラマ『少年のアビス』にも出演するなど順調に活動の幅を広げる彼女が、激動のアイドル人生を振り返った。
― 舞台『蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く』への出演お疲れ様でした。振り返ってみていかがでしたか?
卒業してから息つく暇もなく台本を渡されて、朝から晩まで一生懸命覚えていたときはちょっと後悔したんです。もう少し休めばよかったって。でも稽古が始まってからまわりの人の『蒲田行進曲』への思いを知って、私も大事にしたいなって思うようになりました。主演の味方良介さんをはじめ、役者さん方のエネルギーがものすごいんですよ。始まる前の円陣で「今日も死にましょう」ってみんなで言うんです。私も毎日「死んでもいいや」くらいの気持ちで皆さんとぶつかり合って、新しい扉を開けることができました。本当に役者の皆さんには感謝していますし、やってよかったなって思います。
― 4月30日に乃木坂46を卒業されました。卒業を実感することはありますか?
それこそ今日のチェキとか! 意識していないと、サインに「乃木坂46」って書いてしまうんです。それから9年在籍していたので、「選抜発表がこのくらいの時期にあるんだろうな」っていうのもなんとなくわかって。そういう時期になるとメンバーのブログを見にいって、落ち込んでいそうなコには「ご飯行こうよ」と声をかけたりしています。メンバーのことは今でも大好きなので、よりアンテナをビンビンに張って気にするようにしています。
― 特に気にかけている後輩はいますか?
4期生だと柴田柚菜ちゃんが慕ってくれていて、5期生だと奥田いろはちゃんが加入前から好きでいてくれたみたいで。2人ともツアーのリハ中ですごく忙しいと思うんですけど、合間を縫って同じ日に舞台に来てくれて、本当にかわいいなって思いました。それから個人的に気にかけているのは3期生の阪口珠美ちゃん。乃木坂愛もあれば、パフォーマンスの表現力もある本当に素敵なコなんです。どうにかたま(阪口珠美)が報われてほしいというか。私もつらい環境を行ったり来たりしてきたので、たまにはそういう思いをしてほしくないなって思います。
― ご自身も話されましたが、北野さんは選抜とアンダーを行き来する目まぐるしいアイドル人生だったと思います。もう一度乃木坂46に戻ったら、どういうアイドル人生を歩みたいですか?
たぶん、いちばん選抜とアンダーを行ったり来たりしたんじゃないかな。でも今考えると火付け役だったんじゃないかなと思うんです。けっこう怒られたりすることも多かったんですけど、あとから聞いたら「怒っても泣いたりへこたれたり、いなくなったりしないから」って(笑)。それでも諦めなかったのは乃木坂が好きだからです。卒業コンサートが終わって、「ありがとう」って泣いてくれたメンバーもいたり、今野さんから「お前こそが乃木坂だ」って言ってもらえて、本当にここまで1mmも手を抜かずに活動してきてよかったなと思いました。なので、たぶんもう1回戻っても同じアイドル人生を歩むんだろうな。そしてひめたん(中元日芽香)と泣きながら過ごして、ひめたんのぶんの思いも背負いながら卒業すると思います。
― ファンの方もそんな北野さんを応援できて幸せだったでしょうね。
順風満帆なアイドル人生じゃなかったかもしれないのに、「そんなことないよ」って皆さん言ってくれて、卒業してもたくさんの人が応援してくれているんですよ。本当にあったかい人たちで、今でも私の知らないところで集ってくれていて。そういうのも嬉しいなって思います。
― 9月からはドラマ『少年のアビス』にも出演されます。意気込みを教えて下さい。
アイドルを卒業したばかりの私がアイドルの役をやることに難しさは感じているのですが、現場の方々の「少年のアビス愛」がとても強いので、その思いを皆さんに届けられるよう私も精一杯頑張りたいと思います。今まではまわりの人に与えてもらうばかりだったので、今度は何かを与えられる存在になりたいです。