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STU48キャプテン・今村美月「コロナ禍を逆手に」一人ひとりについて考え抜く【特別インタビュー③】
AKB・坂道FLASH編集部
記事投稿日:2023.06.01 21:00 最終更新日:2023.06.05 12:18
養成所で鍛錬を繰り返し、ようやくアイドルのスタートラインに。しかし、その技術が思わぬところで「足かせ」に…。葛藤を抱えながら活動を続ける彼女が考える「アイドル像」「リーダー像」に迫る。その第3回。
(取材・文 伏見学)
「支えたくなるキャプテン」では駄目だ
2020年1月、岡田さんの後を継いでSTU48の2代目キャプテンに就任。本人にとっては青天の霹靂だった。「奈々さんプロデュース公演のゲネプロが終わった後に呼び出しがあって。ゲネで『涙の表面張力』というユニット曲をやったんですけど、私、歌詞を飛ばしたんですよ。それを怒られるかなと思って、ビクビクしながらスタッフさんのところへ行ったら、キャプテンになってほしいという話で」
驚く今村さんを前に、岡田さんは指名理由を説明した。
「メンバー全員を見たなかで、パフォーマンスに対する私の姿勢が決め手になったそうです。私は自分をキャプテンらしくないと思っていましたが、それも奈々さんはわかってくれていて、『みんなを見たうえで、私はみちゅ(今村さん)を選んでいるから。らしくないじゃなくて、みちゅらしくやればいいんだよ』と言ってくださいました」
その言葉に今村さんは救われた。今村さんにとって、岡田さんはどんなキャプテンだったのか。
「みんなのことを認めて、伸ばしてくれるタイプ。そして、駄目なところはちゃんと叱ってくれる。同年代の女の子たちにビシッと言うのは難しいと思うんですけど、愛を持って指導してくれるところが尊敬できました。また、奈々さんはAKB48と兼任されていたので、私たちよりもレッスンに来る回数は少ないのに、振付を覚えるなど、やるべきことをきちんとやっていました。当たり前に思われるかもしれないですけど、何日間もレッスンをしている私たちよりもしっかりされていた奈々さんの姿からプロ意識を学ばせてもらいました」
そんな憧れの岡田さんからの打診を断わるわけにはいかない。今村さんは即座に応じた。
「みんなを見て私を選んでくれているわけだから、ここで断わったら奈々さんを迷わせてしまう。やるしかないと思って承諾しました」
立場が人を変えるというが、すぐに順応できるほど甘くはない。キャプテンの地位にはあるものの、まだまだ頼りにされていないというのが現実だった。就任直後のステージでは、メンバーからは突っ込まれ、時には助けられながらMCをしていた。当然、独り立ちできていない自覚はあった。
「『支えたくなるキャプテン』と言われました。ゆみりん(瀧野由美子さん)がコンサート終わりのインタビューで話していたのを聞いただけだったんですけど、その言葉を聞いてからは、もっとしっかりして、頼りないキャプテンから脱却しようと頑張りましたね」
みんなから信頼されるキャプテンになれるかどうかはわからない。けれども、「自分らしく、ありのままでいいんだよ」という岡田さんのアドバイスを信じて、突き進むしかなかった。今村さんが奮起したその直後、全世界を新型コロナウイルスが襲った。