「僕が好きなクイズは、みんなでダラダラと酒でも飲んでいるときに『あ! そういえば!』って言えるような問題なんです。クイズに興味がない人からは、煙たがられることもありますが(笑)」
芸能界の「クイズ王」メイプル超合金のカズレーザーが、“クイズ番組では出題されない” ような、奇問・難問を考案した。問題を読むだけで、クスッと笑えて、知識になる。彼にしか作れない、革新的なクイズが揃った。
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クイズの答えを考える前に、なにより問題の文章がおもしろく作られている。
「一般的なクイズ問題って、『文法』が決まっているんです。『解答者に対してなるべくフェアになるように』『答えに向けて情報が徐々に狭まっていくように』とか。
僕は、その定番のルールから逸脱しているほうが、おもしろいと思うんです。だから、僕が作る問題は、へんな文章になるんです」
これまで自作してきたクイズは、なんと1000問以上!
「僕も、たくさんのクイズ番組に出させてもらっていますが、いま世の中はクイズブーム。クイズの問題集も、かなりの数が出ていて、読んでいて楽しいんです。だから、僕も『自分で問題を作ってみたい』と。2年ほど前から作り始めました」
カズレーザーをクイズ好きの道に進ませたのは、あるひとつのクイズ番組だった。
「20年以上前なんですけど、『クイズ 日本人の質問』(NHK/1993~2003年)という番組があって、すごく好きだったんです。司会が古館伊知郎さんで、プレゼンター役が高橋英樹さんや桂文珍師匠とか。
視聴者からの質問に、4人のプレゼンターが、それぞれの答えと解説をするんですけど(正解は1人だけ)、その解説が起承転結になっているんです。
最初に高橋さんが『いかにも』な答えを言うと、それを受けて隣の人が『じつはそうではなく……』と、逆の意見を言う。そして3番めの人が『2人とも違います。じつはですね……』と、ひねった着眼点の解答をする。最後に、文珍師匠がオチっぽいことを答える。
そのなかから正解を予想するんですが、高橋さんの答えが正解のときもあれば、『嘘だろ!』っていうような、文珍師匠の答えが正解だったりもして。このシステムが好きすぎて。いまでも、4択の問題がいちばん、おもしろいと思いますね」
4択クイズの魅力は、選択肢それぞれに “役割” があることだという。「昨日つくった」という問題を例に、解説してくれた。
「『次の4人のうち、違う薬物の容疑で逮捕されたのは誰でしょう?』。この問題、めっちゃよくないですか?(笑)4人全員が捕まっていて、かつ『どうなんだ?』っていう。
一応、選択肢は(1)元大物プロ野球選手K、(2)大物歌手N、(3)ものまねタレントK、(4)海外大物歌手P。『捕まったのは誰でしょう?』ではよくないけど、『違う薬物で』というのがいいですよね」
こうした、とてもテレビ番組では取り上げられないクイズ問題は、「地下クイズ」と呼ばれているそうだ。
「僕のLINEグループには、地下クイズの猛者がたくさんいて、問題を出し合っています。地下クイズになりそうな事件が起こると、『きた、きた!』みたいな感じになります。
グループの皆さんの、アンテナの張り方がおもしろいんです。皆さんの知識には感服しますよ。クイズに強い人は、世の中、無限にいます」
また、自分自身の作るクイズについて「邪道だ」と語る。
「お笑いのことを語るのは恥ずかしいんですけど、僕が好きなお笑いは、芸人が悔しがるような笑いなんです。『うわぁ、こいつら、汚ねえことするな!』って言われるのが好きで。
クイズに関しても、普通のクイズ好きに『自分も作ってみたい』と思わせるような問題じゃないんです。“汚ねえクイズ” だから。『悪問』といわれるようなタイプの、フェアじゃなくて、解きづらくて、みんな間違えるに決まってるっていう問題ばかりですけど、そういうのが好き。
むちゃくちゃだけど、そのほうがいいですよね。フェアじゃないほうが、すごく楽しいじゃないですか」