浜「だから、ありがたいですね。上田さんが、負荷をかけてくれたから、『ダ名言』の作品がたくさん生まれました」
上「まさか、俺に対する当てつけで本を出版されるとは……。お前、恩を仇以外で返す方法を知らないのか、なあ?
しかもこうやって、さらに本を売るための取材すら受けさせられるんだよ。俺、『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)でも、伊集院静さんの本と並べて紹介してやったんだぞ!」
浜「世界一、紹介したくないですもんね、ホントは」
上「そう。俺に対する当てつけなんだから。(本を見ながら)『ウソはつかせたほうにも問題があるんですよ。ついてまで逃げたかったんだから』。もう絶対、俺に言ってるわ!」
浜「いや、そんなことないですよ。てか対談って、もうちょっと和やかなムードになるもんじゃないんですか?」
上「いやいや、今日はもう、“VS.形式” でいくから。まあ、でも『ダ名言』については、俺にはやっぱりない発想だと思うんですよね。だから、『あー、なるほど。そっちの角度の考え方もあるんだなー』っていうね。
この本を俺の車に積んでたら、ある日、後ろの座席に座ってた息子が突然笑いだしたんですよ。『どうした?』って言ったら、『浜ロンさんの本読んでんの』って言うわけ」
浜「おー、ありがたい」
上「うちは娘が中2で、息子が小4で。だから、子供にお前の本を読ませるのは、まだやめようと思ってたのよ。だって、子供には『闘うんだ、勝ち上がるんだ』って、そういう教育をしたいからさ」
浜「なるほど」
上「いや、大人になって、いろいろわかるようになって、こういう少し楽できる考え方を知るならいいんだよ」
浜「ガス抜きというかね」
上「そうそう。でも『うちの子たちには、まだちょっと早いかな、20歳くらいになってわかってくれたらいいな』と思ってたら、息子が笑ってるのよ。最初は、『「逃げる」って選択肢にそんなに引かないでください。ドラクエにもありますよ』で、まずプププッて笑ってて。
俺もまあ、これはいい名言だなと思うわけ。逃げることは、けっして恥ずかしいことじゃないから。でも俺、基本的には『逃げるな』って教えるほうじゃん」
浜「まあ上田さんは、こん棒を振り回すタイプですからね」
上「こん棒は振り回さないわ(笑)。でも、息子は笑ってたから、『おお、お前、それはどう思うの?』って聞いたら、『ゲームの「たたかう」とか、いろんなあれがあるなかで、逃げるってことでしょ』って。『意味わかってんだな。でも、基本的には闘わなきゃダメなんだよ』って言っちゃったもん」
浜「言ったんですか」
上「うん、言った。『基本的には闘わないといけないんだよ』。そしたら、『うん、わかってる。だって、これダメな名言でしょ』って(笑)。おお、おお、わかってんだな、と思って。それならいいやと思って、そのまま読ませておいたけど。
お前、この本の印税入るんだろ? 正直、8割はもらおうと思ってます」
浜「けっこうだな! 何兆円稼ぐ気ですか?」
上「きっかけを与えたのは、俺なんだからな」
浜「たしかに、そうですけどね」
上「たしかにって、お前、認めたな?」
浜「いや、認めてないですよ。僕、今日、嬉しかったんですよ。初めてこうやって、仕事で上田さんと対談できると思ったんですけど……。これ、ただの公開説教じゃないですか!」
上「あ、これもそうだな。『短所を指摘する前に、そもそも長所は把握してくれてます? そこ結構大事ですよ』」
浜「いや、上田さんは僕の長所を把握してくれてますもん」
上「把握してないよ」
浜「してくれよ!」
上「でも、いま思えば、お前はドライバーとしては超一流だったわ。(物事を)ひとつ成したところで、ちょっとドライバーに戻ってくんねえかな」
浜「いやいやいや(笑)。せっかく本が、まあまあいい調子なんですから」
上「いま、お前がやってたときの倍出てるみたいよ。“ドライバー・フィー” も」
浜「 “フィー” って言わないでくださいよ(笑)。でもマジですか!? ただ、ドライバーとして戻れば、また2冊めの案がいっぱい浮かびますよ。いっぱい『ダ名言』が浮かびますから」
上「それなら、ウィンウィンだろ? よかったじゃんか」
浜「う~ん、それでいいのかな……」
上田晋也(うえだしんや)
番組収録の合間を縫って、「浜ロンの著書の宣伝のためなら」と駆けつけた。芸人としての浜ロンについては、「いつも、『お前、もっとこういうのにチャレンジしてみたらどう?』と振ってきましたけど、結局、浜ロン的には、『ハト派芸人』『ダ名言』っていうのが、いちばんしっくりきたんでしょうね」と分析する
浜ロン(はまろん)
1995年に芸人としての活動を開始した。事務所の先輩・上田の運転手を4年10カ月務める傍ら、『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)では、前説でありながらも出演もし、話題を呼んだ。現在は「ハト派芸人」と名乗り、2016年から「ダ名言」をツイッターに毎日投稿している。著書に盛り込んだのは、全体の半分以下だという
(週刊FLASH 2020年7月7日号)