小沢仁志とめぐる「ガチ美味！町中華」宝来／中目黒

 

　小沢仁志は、誰より「町中華」を愛してやまない、侠気と色気と食い気けの役者。小沢の案内でまわる、行きつけや注目の店は、みなガチ美味だった！

 

　今回は小沢の助っ人として、愛する弟・和義も参戦。舞台は「兄ぃ（あにぃ／小沢の愛称）」が外出自粛期間中、運動不足解消のためのウオーキング中にふと立ち寄り、ラーメンを食べて感激したという、中目黒の「宝来」だ。

 

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「カズは、自分で寸胴鍋と何日も格闘し、ラーメンをスープから作っちゃう男。しかも、町中華のラーメンが好き。俺より断然、詳しいよ」

 

　強力な助っ人を得て、兄ぃは不敵な笑みを浮かべ、どっかと店奥の小上がりに陣取った。「しかし、すげぇメニュー数だな」と壁を眺める。

 

　まずは、名物の餃子を2人前。「どれどれ……。カリッと美味そうに焼けてるな」と和義。頬張ると、兄と双璧をなすコワモテが、満面の笑顔になった。

 

「これ、野菜中心の餡でいくらでも食えちゃうヤツ。ほら、中の緑が透けて見える。しかも、餡の舌ざわりがいいよ。よほど丁寧に仕込んでるね」

 

　宝来の餃子は、キャベツの下半分のみを使う。芯に近いほうが、食感がよいとか。そして細かく刻み、手ぬぐいで絞って水分を取る。この仕込み作業は、3代目店主の篠田順子さんにしかできない。兄ぃも理想の餃子に出会った興奮を隠さない。

 

「ニンニクと生姜が効いて、けっこう刺激的だね。女と餃子は一緒。薄皮にギュッと中身が詰まって、かじると火傷を負わせる。俺、今ちょっと文学的なこと言ってないか？」

 

「兄貴、完全に酔ってんな」と和義。「俺は昼からだからな。オメェも早く追いつけ」と兄ぃ。それにしても宝来は、何を頼んでも外れがない。キクラゲ玉子も、ピーマンとタケノコ入りで香ばしい甘めのソースにたっぷり浸かり、たいへんに美味だ。

 

「めっちゃコリコリだぜ」と驚く和義に、兄ぃが諭す。

 

「キクラゲってのは、精がつくんだから。もともと、漢方薬だもんな。じゃんじゃん食ったほうがいいぞ。お前、彼女いない歴、何年になるっけ？　鼻血出ちゃまずいな」

 

　すると、和義は苦笑しつつ「なら、兄貴こそ必要だろ！」。かつて忘年会で利用した店を半壊させるほど、派手な兄弟喧嘩もした2人。しかし今宵は、町中華スピリット溢れる宝来の料理の数々に舌鼓を打ち、すっかりご満悦の様子だった。

 

おざわひとし
1962年生まれ　東京都出身　1983年に『太陽にほえろ！』（日本テレビ系）に出演後、『スクール☆ウォーズ』（1984年、TBS系）で本格的に俳優デビュー。Vシネマ出演歴は30年になり、『日本統一』シリーズ、『日本極道戦争』シリーズなどに出演中。映画監督、プロデューサーの顔も持つ

 

おざわかずよし
1964年生まれ　東京都出身　現代的なアウトロー役を得意とし、映画、Vシネマ、テレビドラマに多数出演。映画『覇王　凶血の連鎖』シリーズ（2016年〜2017年）などでは監督も務める

 

【SHOP DATA／宝来】
・住所／東京都目黒区中目黒1-4-18
・営業時間／11：30〜14：30、17：30〜22：30（LO21：30）※日曜は11：30〜21：00
・休み／水曜、祝日

 

※小沢兄弟が出演する新作映画『東京ドラゴン飯店』（監督・西村喜廣）は、9月以降に大阪・名古屋で公開予定！

 

（増刊FLASH DIAMOND　2020年8月20日号）