こう明るく語る富田だが、女優としての在り方に悩んだ時期もあったという。
「15歳から17歳の時期は、いろいろ悩んでましたね。ソロモンの撮影時、クラスメイトの俳優は皆、新人さんで同級生。とにかく『中学生らしくしろ』と、業界的な挨拶も許されませんでした。
現場に行っても、『おはようございます』ではなく、『こんにちは』。夜も『お疲れさま』ではなく、『また、明日』という感じでした。あくまでも自分たちは『俳優である前に普通の中学生』という扱いだったんです。
それが17歳になって『チア☆ダン』の撮影では、いきなり広瀬すずさん、中条あやみさん、福原遥さんたちと共演。皆さん、テレビや雑誌で知っている方々だったので、環境の大きな変化に困惑しました。
それまで、等身大でお芝居が好きという気持ちだけだったのですが、共演者が皆、芸能人という撮影環境には、なかなか慣れませんでした。
テレビで見ている人同士が、『この前○○さんに会ったよ』とか普通に話していて、その○○さんも芸能人だったりして、話にまったくついていけなかった。『こんなキラキラした世界では、役者としてやっていけないかも』という葛藤もあり、かなり悩みました」
そんな時期に知り合った広瀬すずとは、共演を重ね、いまは友達だという。
「『チア☆ダン』撮影前にダンストレーニングを受けたのですが、ダンスにハマってしまい、撮影後も仕事とは関係なく、すずさんと一緒に、その先生にダンスの指導を受け続けてます。コロナ前は毎週2回は通っていた時期もあって、『また状況が落ち着いたら一緒に行こう』と、すずさんとは約束してます」
社会人役なども多く、周囲には「年齢不詳」と言われることも多々あるという。
「最近、バラエティ番組に出るようになって、やっと20歳の年相応の女のコだと認識されるようになりました。過去には、20代半ばと思われてしまうこともあって。私は、すずさんより2歳年下なのですが、当時も『絶対年上だと思った』と皆に言われました(笑)。
29歳の工藤阿須加さんにも、『なんで20歳の女のコがこんなにしっかり俺と話してるのかわからない』と言われたことがあります。今も見た目だけでなく、お話しすると『20歳とは思えない』と、いろいろな俳優さんに言われます」
15歳で女優デビューして、すでに5年。確かにしっかりした印象もある彼女に、20歳の素顔を自己分析してもらった。
「むっちゃくちゃ繊細で、負けず嫌いな性格ですね。ただ負けず嫌いのくせに、あきらめというか、切り替えが早いんです。
だからオーディションとかで落ちても、一切落ち込まない。
『この役に合っているのは、別の女優さんなんだろうな』と納得しちゃうんです。そういった部分が、大人びた印象を与えるのかもしれません。
もちろん、みんなといるときは普通にギャーギャー騒いで、ちょっとしたことで笑い合っています。ただ、『あのとき私すごい笑ってたけど、本心はどうだったんだろう』とか、いろいろと深く考え込んでしまうきもありますね」
だが、今では『ヒルナンデス』(日本テレビ系)の木曜レギュラーを務め、雑誌『UTB+』の連載では、カメラマンとして女優やアイドルを撮影。さらに、ドキュメンタリー番組のナレーションを務めるなど、女優以外の活動にも積極的に取り組んでいる。
「今のように、作品だけでなくバラエティに出ている自分なんて想像もつかなかったのですが、すずさんや福原遥さんが女優だけでなく、モデルもバラエティも頑張ってる姿を見て、『やってやれないことはない』と意識が変わったんです。
演技はもちろん、『チア☆ダン』以降は、ひるまず演技以外のお仕事にも取り組んでいます」
そんな富田に、夢を聞いた。
「朝ドラとか大河ドラマという意味ではないのですが、『いつか、ひとりの女性の生涯を演じてみたい』という気持ちはありますね。『なつぞら』で、高校生から子供が3人いる若い母親になるまでを演じたことで、その気持ちが強くなりました。
いつの日か、10代から80代まで、しっかりとひとりの女性を、丁寧に演じきってみたいと思っているんです」
とみたみう
2000年2月25日生まれ 福島県出身 2015年、映画『ソロモンの偽証』(二部作)の浅井松子役でデビュー。以後、『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』(2017年)、『3年A組ー今から皆さんは、人質ですー』(日本テレビ系、2019年)など多数の映画やドラマに出演
写真・福田ヨシツグ
スタイリスト・阪上秀平
ヘアメイク・池田ユリ
(週刊FLASH 2020年9月1日号)