当初は口が重かったA子さんだが、やがて堰を切ったように話し出した。
「会った当時は、『ごちゃごちゃ言わず、黙って僕について来い!』という彼の言葉を信じていました。その後も、『結婚できなくても、この人を支えてあげないとな』って、心から思っていたんです」
そんな彼女を精神的に追い詰めたのが、トムによる熾烈な “モラハラ” だったという。
「つき合っていたといっても、ホテルの部屋でHするだけ。初対面から、バイアグラを私が用意させられました。彼が熊本に来ると、ホテルの部屋から外に出ることを許されず、まるで軟禁でした。
もっとしんどかったのが、彼の “嫉妬” で、仕事で男性と一緒になると激怒し、ノイローゼになるほどLINEが届くんです。『ほかの男と会うな!』『お前は脇が甘いんだよ!』と、SNSに自分の写真をアップすることも、同窓会に行くことも禁じられました」
感情の起伏が激しいトムに、口答えは許されなかった。
「いろいろ尋ねて機嫌が悪くなると、無視が続いて放置プレイ。私が泣くと、『また病気が始まった』と言って、全然取り合ってくれない。『お前は病気だ、死ぬまでずっとひとりだ』と、呪いのように延々と責められました。2019年には、振り回されるのに耐え切れず、自殺を図ってしまいました」
2020年9月、限界を悟ったA子さんは別れを切り出すことに。
「これ以上つき合えばダメになると、彼に気持ちを吐き出したら、LINEをブロックされたんです。この4年間が、あまりに苦しく、悲しくて……」
DV問題に詳しい、あおば法律事務所の橋本智子弁護士が解説する。
「LINEのやり取りなどを見ると、モラハラの典型的な手口ですね。モラハラとは “精神的暴力” のこと。相手を人として扱わず、支配下に置いてコントロールする。トム氏の接し方は、加害者に特有の巧妙なものです」
トムの所属事務所に問い合わせると、本人が不倫の事実を認めた。
「熊本の皆さんへの、なんらかのお力にと、支援の一環として通っていたなかで、このようなお騒がせをすることになり、申し訳ないと思います。相手女性の方には、誤解が多少なりともありますが、結果として傷つけてしまったことは、たいへん申し訳ないと思っております。
日ごろお世話になっている仕事の関係者の皆さんへ、ご迷惑をおかけし、申し訳ありません。今後も、熊本への支援は続けていきたいと思います」
妻子を裏切り、震災を利用し、ひとりの女性を追い詰めたトム。『WON’T BE LONG』(もうすぐさ)といわず、じっくりと反省してみては――。
(週刊FLASH 2020年10月27日号)