ときには語感を優先して、歌詞に意味がなくなることもあるという。
「脳内で生まれた歌詞とメロディだから、変えようと思ってもできないんです。宮藤官九郎さん(グループ魂)にオファーをいただいて楽曲提供した『欧陽菲菲』という歌は、歌詞が支離滅裂で、宮藤さんに『1番と2番が同じってのがすごい!』って言われました(笑)」
そのルール無用の価値観は、どうやって作られたのか?
「井上陽水さんの『氷の世界』を聴いたとき、歌詞の意味がわからないのに、説得力があったんです。言葉が意味を超えてデザインになっている。矢沢永吉さんの『真っ赤なフィアット』もそう。先人の成功例にヤル気を戴きました」
2009年、西友のCMソングとなった『昼顔』は、「奥さん、奥さん」と、甘く誘惑するように歌い、大きな話題となった。ターゲットは主婦層だ。
「隙間産業をやっていこうという覚悟じゃないけど、そんな気持ちがあったんです。音楽のマーケットは、奥さん世代にもあるんじゃないかって。結果的に、主婦層にも聴いてもらえるようになりました。
次は、お子様の琴線にふれるものを意識して、『スパークだ!』(2014年)、『山鳩ワルツ』(2018年)を作りました。NHKの『みんなのうた』で流れたこともあって、ライブ会場では、お母さんが子供と一緒に歌ってくれます」
ただしCKBの音楽は、大人のエロチックでディープな世界観も併せ持っているため、ライブでは「R指定の曲でも親子で楽しんでいただく(笑)」ことになる。
横山剣の感性を育んだ本牧とは?
「CHIBOWさんのバンドやザ・ゴールデン・カップスなど、上の世代にカッコいい人たちがいて、下の世代には、マイティー・クラウン、ファイヤー・ボールがいる。3世代にわたって“音楽”という共通言語があり、つねに刺激を受けています。
昔はよかった、と過去を振り返ることなく、今を精いっぱい生きているところに共感します。その拠点がこの店。もう離れられない。あ、ここのカレーも最高ですよ」
イイーネ!
よこやまけん
神奈川県出身 小学校低学年のころより脳内にメロディが鳴りだし、独学でピアノを弾き作曲を始める。1997年、クレイジーケンバンドを結成。作曲家としては、和田アキ子、TOKIO、SMAP、グループ魂、関ジャニ∞など、数多くのアーティストに楽曲を提供。10月21日、最新アルバム『NOW』を発売。10月30日、15年ぶりに日本武道館ライブを開催。インターネット同時生配信の予定あり(有料配信)
【SHOP DATA/ブギーカフェ】
・住所/神奈川県横浜市中区本牧間門20-1
・営業時間/12:00〜25:00
・休み/木曜日
(週刊FLASH 2020年11月3日号)