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バイきんぐ、ザコシショウ、錦鯉…育ての親が明かした「異色芸人をやる気にさせる」言葉の魔力
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.06.06 11:00 最終更新日:2021.06.06 11:00
そして2012年、バイきんぐが『キングオブコント』を制覇して大ブレイクする。
「小峠なんて、狂ったネタしかやってなかった(笑)。交通事故でぶつかった、腸が飛び出た、それで縄跳びする……みたいな。シュールどころじゃない、常人が考えられないようなネタ。その手のネタを全部捨てて、抜群におもしろくなりました。
『キングオブコント』を獲ったとき、芸人の間ではウケていたんですが、世間一般的にはまったくの無名。未知の強豪が登場っていうのがハマった感じです」
いきなり強いネタを持ち込んで賞レースに殴り込む手法は、SMAのお家芸だ。
「2015年にマツモトクラブが『R-1』で決勝に進んだとき、『ストリートミュージシャン』ってネタがあったんです。それで『このネタなら必ず決勝にいけるから、半年間はほかでやるな』と指示しました。
誰も知らないネタで、彗星のごとく現われたやつのほうが紙、ラジオ、テレビすべてが取り上げるから、一瞬でピークに持っていけるんです。
だから温存しろって言ったら準決勝で負けて、僕がビビるという(笑)。敗者復活で決勝にいけたから、『言ったとおりだろ』と声が裏返りつつ、危ねーと思ってました」
2016年に『R-1』を制したハリウッドザコシショウは、地上波ゴールデン番組で裸芸人が大暴れという驚きを視聴者にもたらした。
「あのとき、エハラマサヒロさんが『スタジオ内の雰囲気が全部ザコシショウに吹いている。優勝しますよ』って声をかけてくれたんです。
ザコシショウも真面目でいいやつなんですよ。もうちょっとトークで暴れてもいいんですけど、優しすぎちゃって、険のあることが言えないんです」
2017年には、アキラ100%が『R-1』で優勝。2年連続でSMAの裸芸人が栄冠に輝いた。
「予選ですごくウケたので、ザコシショウのときのように風を吹かせようと、『決勝の観客は女性が多いから、裸芸を見たときに引かれることもある。だけど、予選で大爆笑を獲った頭の30秒の雰囲気を引っ張れれば、決勝も風でいける』と話しました。作戦どおり、ドドーンと勢いでいってくれましたね」
■早くバイト生活から抜け出してほしい
2020年には、お笑い部門立ち上げ当初から所属していた錦鯉が大ブレイクを果たす。
「頭を叩きすぎとか、いろいろ言いました。漫才の最初のひと言も『弟は46歳だよ!』なら、客にお前がすげえジジイだって伝わるけど、『一文無し、参上!』なんて言っても、お前が貧乏かどうかなんて誰も知らないんだからおもしろくないんだよと。
長谷川には、結婚するまで引っ越しするなって言ってます。タワマンに住んでアウディに乗ってたら笑えないよって(笑)」
平井氏は、専門店ではなく、百貨店のようにいろいろなタイプの芸人を売っていきたいと言う。そして、その延長線上にSMAの最終目標がある。
「芸人がバイト生活から抜け出してくれるのが嬉しいですね。とにかくネタだけやってほしい。ネタがおもしろければ、合いそうな番組にあてはめていきますから、オーディションに落ちたらマネージャーのせいにしていい。ネタに全集中させたい。3分のネタ2本とトーク力があれば売れるんです。
重視しているのは、3大賞レース(『M-1』『R-1』『キングオブコント』)と、『THE W』『おもしろ荘』でウケるネタ作りと、売れている芸人の分析です。
三四郎の小宮さんが事故って歯を折っても『ゴッドタン』に出てハネた。『お前、怪我する勇気あるか?』って。『ティモンディの高岸さんは140kg投げられるから売れたんだ。お前らも今から肩鍛えろ』とか(笑)。
目標を与えて、バイト以外はネタのことだけ考えて、早く売れてバイトをやめてほしい。全員が芸能だけで食えるようになるのがいちばんの目標です」
(週刊FLASH 2021年6月15日号)