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阿部寛『ドラゴン桜』これぞ “全部乗せ”!手加減ナシでオイシイ要素だらけの最終回
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.06.28 16:00 最終更新日:2024.07.23 13:37
これでもかというほど、エンターテインメントしていた。しかも手加減ナシの “全部乗せ” だ。
元暴走族 の弁護士・桜木建二(阿部寛)が、低偏差値高校の生徒たちを東大合格に導く『ドラゴン桜』第2シリーズ(TBS系)。
第1シリーズで生徒役だった弁護士・水野直美(長澤まさみ)が、桜木の右腕としてレギュラー出演したことも話題となっていたが、昨日放送された最終回はいろいろな面で華々しかった。
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最終回の世帯平均視聴率が20.4%、個人全体視聴率が13.1%と有終の美を飾ったのにも納得だ。
(※視聴率はビデオリサーチ調べ/関東地区)
■性格最悪だった藤井が見せた人間的成長
結論から言うと、東大受験した東大専科メンバー7人中5人が合格。
瀬戸輝(King & Prince髙橋海人)、岩崎楓(平手友梨奈)、原健太(細田佳央太)、小杉麻里(志田彩良)、天野晃一郎(加藤清史郎)が合格。早瀬菜緒(南沙良)と藤井遼(鈴鹿央士)は不合格だった。
「そう思うと俺は気が楽だね。来年が本命。今年は受かりっこねぇし。まぁ経験だよ、経験」とリラックスして試験を受けた瀬戸。ダメ元精神が功を奏したことはわかるが、もともと実力がやや劣っており、文科3類から文科2類に変更した彼の合格には、少々ご都合主義を感じた。
一方、藤井が落ちたのは残念だったが、彼の成長には感動を覚えた。
藤井はあえて険しい道と承知のうえで、理科1類で受験。しかも、昼休憩中に健太が別の受験生2人にイジメられているのを見て、「お前なにも知らないくせに俺の友達をバカにすんなよ!」と止めに入るのだった。
その際に利き手である右手を痛めてしまい、それが不合格の遠因だったのかもしれない。しかし、かつて自分が健太にしていたようなイジメ行為に怒り、健太を守った彼の言動は実に涙腺を刺激した。東大専科メンバーで最も人間的に成長したのは藤井だったように思う。
“性格が悪かったキャラが成長して友情に厚い仲間になる” という展開は、少年マンガなどでも使われる王道手法だが、エンタメ作品としてはこれぐらいわかりやすいほうがいい。
■元・東大専科全員出演というサプライズ
第1話に、2005年の第1シリーズの生徒役だった紗栄子がサプライズ登場していたことで、最終回でも第1シリーズメンバーのうちの誰かが出演するだろうと予想はされていた。……が、結果は予想を上回る “全員出演” という特大サプライズが用意されていたのである。
まず最終回序盤で元・東大専科の小林麻紀(紗栄子)、緒方英喜(小池徹平)、奥野一郎(中尾明慶)が3人揃って登場。現役・東大専科の生徒たちに頼もしくアドバイスを送った。
そして終盤には同じく元・東大専科の矢島勇介(山下智久)が声のみながら出演し、香坂よしの(新垣結衣)は桜木と水野の前に現れ再会を喜んだ。2人とも陰ながら桜木のために助力していたようである。
紗栄子が第1話で登場したことから、ほかの元・東大専科メンバーが途中回で1人1人投入されていくのではという予想もあったが、クライマックスの盛り上がりを爆発させるために、最終回まで温存したということだろう。
続編のフィナーレに華を添えるためとは言え、まさかこの豪華なフルメンバー出演が実現するとまで予想できていた人は、ごく少数だったのではないだろうか。
■実は…の連続、主要な敵・味方が全部逆転
本作は物語の構造的な部分でもエンタメ感満載だった。それは対立構図のめまぐるしい変化だ。
まず物語前半で激しく敵対していた龍海学園理事長・龍野久美子(江口のりこ)は、何度かの衝突を得て桜木や水野のよき理解者となっていった。
一方、最終回前までに、久美子の父である元理事長・龍野恭二郎(木場勝己)が、実は統合型リゾートを建設したいという企業に、龍海学園を売却することを目論んでいたことが発覚。
そしてこちらも同じく最終回前に、桜木や水野に学園再建を依頼してきた張本人で、仲間だと思っていた教頭・高原浩之(及川光博)が驚愕の裏切り……。高原はカネと権力の亡者で、桜木事務所の元No.2弁護士だった岸本香(早霧せいな)らと共謀し、学園売却を画策していたのだ。
しかし、高原が久美子から理事長の座を奪い、学園売却が確定するかというその瞬間だった。
これまで桜木を恨み、ハメようとしていると思われていた、元・教え子の坂本智之(林遣都)と米山圭太(佐野勇斗)が、高原や岸本の悪事の証拠を突き付け、逆に窮地に追いやるのだった。
実は坂本&米山は今でも桜木を慕っており、桜木のために敵の懐に潜り込んでいたのである。
久美子は敵から味方へ、高原は味方から敵へ、坂本&米山は敵から味方へ。実は敵だった……実は仲間だった……という逆転につぐ逆転。
第1話時点の人物相関図から考えると、桜木&水野を取り巻く主要な敵・味方がガラッと真逆になっているのだ。まるでオセロのように白から黒へ、黒から白へ。
ここまで目まぐるしく敵対構図が入れ替わる作品も珍しいが、非常にスリリングでエンターテインメントとして見応えがあったのは事実。
――このようにエンタメ的なオイシイ要素をこれでもかと投入し、“全部乗せ” 状態だった『ドラゴン桜』最終回。今期ドラマトップの視聴率は伊達ではないと感じさせたフィナーレだった。
●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中