エンタメ・アイドル
斎藤工『漂着者』謎が残されすぎで超モヤモヤ…駄作だったと言わざるを得ない理由【ネタバレあり】
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.09.25 13:33 最終更新日:2021.09.25 13:33
「いよいよ最終回! あなたは衝撃の結末を目撃する――。」
公式サイトにある最終回あらすじの文末が、このように締められていた斎藤工主演の『漂着者』(テレビ朝日系)。
【関連記事:斎藤工、岡田将生に家庭教師の依頼「保健体育教えて(笑)」】
昨日放送された最終回、確かに衝撃と言えば衝撃だったが、悪い意味で衝撃的。こんなにもモヤモヤを残してガッカリさせられたのは久しぶりだった。
最終回終盤で、放送時間があと10~15分程度しかないだろうという時点でまだまだ多くの謎が残されていたため、嫌な予感はしていたのだが的中してしまった。
本作は記憶を失った状態で、全裸で海岸に漂着した謎の男・ヘミングウェイ(斎藤)が主人公。
「#イケメン全裸漂着者」としてSNSでバズッた彼は、予言めいた力で失踪女児の居場所を示すなどし、次第に彼を信奉する人が日本中に増えて、一躍時の人になる。しかし、そんな彼のまわりでは謎の怪死や猟奇殺人が起こっていき……というオカルト要素もあるサスペンス・ミステリーだ。
■実はSeason 1最終回、謎が残されすぎで超モヤモヤ
結論を言うと、Season1の最終回でしかなかったことが最後の最後で明かされたのである。
死んだかと思われていたヘミングウェイが黒い服を着て登場し、うっすらと笑みを浮かべながら「Season1 終」の文字が出て終幕。現時点ではSeason2の予告映像もなければ、Season2の放送時期も不明。
女児連続殺人事件の真犯人が雲行寺住職・深見龍之介(リリー・フランキー)だったこと、総理大臣臨時代理・藤沼恵美子や女子高生・ペリらが実は『しあわせの鐘の家』メンバーだったことなど、いくつか判明したこともあったが、それ以上に未回収の謎が多すぎるのだ。
けっきょくヘミングウェイの不思議な力や彼が何者かといった核心がわからないままだし、『しあわせの鐘の家』主宰・ローゼン岸本(野間口徹)の正体や目的や真意も不透明。深見は女児連続殺人の自白はしたが、逮捕されていないので事件解決とは言えない。
ちなみに日本が滅亡の危機に瀕していると語られ、その原因になると思われていた某国の工作員による大規模テロは、めちゃくちゃ小規模なまま解決。ヘミングウェイの “未来を選ぶ能力” で回避できたということだろうが、日本滅亡危機とまで仰々しく謳っていただけに肩透かし感が強い。
――さて、Season2できちんとすべての伏線や謎を回収してくれることを祈るのみだが、伏線回収する気ナシの続編商法なんて揶揄されても仕方のないラストだった。
こういった手法は国内外のドラマを見渡せば今までもあったため、今さら「騙された!」なんて糾弾する気もないが、逆に言うと「いまだにこんな手法で引っ張るのかよ」という失望は否めない。
以前、『漂着者』第3話のレビューコラムを書いた際に、「傑作か? 駄作か? 第3話まで観た時点では何とも言えない」「最終回まで観ないと論評しづらい作品」として評価を保留していたが、最終回を観終わっても評価できないというわけだ。
ただ、謎を残したままSeason2に続いたとしても、Season1の時点で高く評価される作品もある。たとえばメインの謎がSeason1のうちにおおむね解き明かされ、さらに気になる謎がSeason1終盤で提示される展開の場合だ。
つまりSeason1終了時点で視聴者にある程度のカタルシスを与えられていると、Season1単体でも高評価を得られやすい。だが本作にはそういったカタルシスはほぼナシ。
現時点では、風呂敷を広げまくった末に放り出したと言われても仕方がない状態で、視聴者にスッキリ面白いと思ってもらおうなんてサービス精神は微塵も感じられず……。モヤモヤさせたまま放置プレイに突入したドS展開とも言える。
全Season終了時点でないと本当の意味での評価はできないが、繰り返すように、Season1だけでも面白いと高評価を与えられる作品もある。
ということを踏まえて『漂着者』のSeason1単体で評価するなら、「駄作だった」と言わざるを得ない。
●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中