エンタメ・アイドル
笑いの聖地「ルミネtheよしもと」オープンから20年…スタッフ・芸人らが明かす劇場秘話
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.10.03 06:00 最終更新日:2021.10.03 06:00
新宿駅に隣接する商業ビル「LUMINE2」の7階にあるお笑いの劇場「ルミネtheよしもと」。貸しホールとして運営されていたルミネホール「ACT」が2001年、吉本興業が運営する劇場へと生まれ変わった。
座席数は458席+立ち見スペース。現在、お笑い専門劇場としては東日本最大のキャパを持つ。開業から20年、多くの芸人たちがここから巣立っていった。
【関連記事:オリラジ中田敦彦「よしもと退社独立」騒動をついに語る】
「1990年代後半、吉本興業は『銀座7丁目劇場(通称・ギンナナ)』『渋谷公園通り劇場』で、若いお笑いファンを集めていました。
極楽とんぼやロンドンブーツ1号2号、ペナルティ、DonDokoDon、品川庄司などの東京吉本所属の芸人がメインで出演し、大人気。
ギンナナには大阪からナインティナインや雨上がり決死隊、FUJIWARAなどの『吉本印天然素材』メンバーが出演していましたね。
しかし、1998年、1999年に相次いで閉館すると芸人たちはホームを失い、路上ライブやインディーズライブをする羽目になりました」(劇場スタッフ)
1997年にデビューしたトータルテンボスの藤田憲右(45)と大村朋宏(46)は、「銀座7丁目劇場に出始めて、1年めで閉館になって、その後、2年くらいは芸人がみんな外の小屋でライブしている時期があったんですよ」(藤田)、「銀座では成績よかったんです。トントン拍子に伸びて、そのころのトップスターの先輩方と一緒のライブに1年めから出られて、これはイケると思っていたら小屋がなくなっちゃった。急に同期と横並びになったことに、若かったから『納得いかねえよな』みたいな(笑)」(大村)と、当時を振り返る。
こうして吉本興業は、若手の新たな活躍の場として「ルミネtheよしもと」を開業することになる。
「テレビに出ている芸人を生で見られるというコンセプトで、今田耕司や東野幸治、ほんこんなどを座長にルミネtheよしもと新喜劇(現・SPコメディ)を上演しました。
それ以外にもギンナナや公園通り劇場に出ていた芸人たちに加えて間寛平、村上ショージなどのベテランから、中川家やCOWCOW、2丁拳銃などの当時の若手まで、吉本の総力を投入しました。
千原兄弟も4月のオープンから出演するはずでしたが、実際に出ていたのは兄の千原せいじだけ。千原ジュニアも出演予定だったんですが、3月にバイク事故を起こして出られなかったんです。
ギラギラした若手芸人が数多く活躍したことで、若い女性ファンが押し寄せるようになりました」(前出・劇場スタッフ)
当時、駆け出しの芸人は、劇場のチラシ配りで新宿を歩きまわっていたという。
「ルミネtheよしもと」オープン時に、デビューしたばかりだった5GAPのトモ(45)とクボケン(40)は、「前説兼間寛平師匠の着ぐるみを着て新宿をまわる係でした(笑)」(クボケン)、「一応、時給は出てましたけど、むちゃくちゃ安かったですね(笑)。これ、どういう計算なんだよ? ってのは、若手ながらに疑問でしたねえ。一日中歩いて1500円もなかったような……」(トモ)と、昔の苦労を懐かしむ。
「ルミネtheよしもと」のバックステージには、20代から30代の若手芸人がひしめき合った。
COWCOWの多田健二(47)と善し(46)は劇場のシャワーに思い出があるという。
「ロバートの馬場さんとか、いつも楽屋のシャワーを浴びていて、一度排水口がめっちゃ詰まったんですよ。なんだと思って取り出してみたら、緑色の髪の毛がゴソッと出てきて(笑)。すぐ犯人がわかった」(善し)
前出のスタッフが、舞台裏の様子を語る。
「大きな楽屋がひとつと、畳の楽屋がひとつ。それに、会議室という名のソファがある小部屋。大きな楽屋は新喜劇の面々が占拠し、ネタ出演組のスターが畳の楽屋を使います。
そのほかの若手は、板張りの広間に溜まってましたね。
芸人だけでなく舞台監督、音響、照明、美術、作家見習い(進行)といった劇場スタッフやメイク、スタイリスト、そしてプロデューサーやマネージャーなど吉本の社員と、とにかく多くの人がいました」
ベテランの舞台監督は、ある大物芸人の言葉が強く印象に残っているという。
「村上ショージさんの本番中にピンマイクの故障で雑音が流れ始めて……。袖のほうを向いて不安そうな顔をされていたので、『すみません、調子悪いみたいです』と伝えると『誰が調子悪いねん!』と返され、お客様は大爆笑!
出番後、『ありがとう! めっちゃウケたな、助かったわ』と言われ、カッコよかったです。
また、ある芸人の出番前に、ネタで使う小松菜を袖に準備していたのですが、野性爆弾・くっきー!さんが食べてしまいネタができなくなったことがありました」
芸人同士のいたずらで盛り上がることもよくあり、スタッフと芸人の距離の近さがこの劇場の特徴のようだ。
「中川家や次長課長が楽屋で即興コントを繰り広げることがあり、巻き込まれているメイクさんを見たことがあります。ネタ合わせ中に喧嘩しているコンビもいました。楽屋はいつもにぎやかでしたね」(前出・劇場スタッフ)
現在は第7世代やアインシュタイン、和牛、ミキなどの人気若手芸人やベテランが劇場を支え、単独ライブなども多く上演されている。20年間、お笑いの劇場のトップランナーとして走り続けた「ルミネtheよしもと」は、これからも多くのスターを輩出するだろう。
(週刊FLASH 2021年10月12日号)