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『アバランチ』の綾野剛、前作『恋ぷに』のコレジャナイ感を振り払う伝家の宝刀とは?
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.10.25 11:00 最終更新日:2021.10.25 11:00
狂気的主人公。しかし、それはよくも悪くも非常に “綾野剛らしい” とも感じる。
フジテレビ系・月曜22時に新設されたドラマ枠 “月10” の第一弾作品が、先週からスタートした綾野剛主演の『アバランチ』だ。
非合法の手段もいとわずに、警察が裁けないような巨悪に立ち向かっていく破天荒な謎の集団「アバランチ」の活躍を描いた本作。
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「アバランチ」メンバーは元刑事の主人公(綾野)、表向きは警視庁に所属する「アバランチ」のボス(木村佳乃)、警視庁の若手警察官(福士蒼汰)、天才ハッカー(千葉雄大)、元自衛官(高橋メアリージュン)、元刑事(田中要次)の6人だ。
先週放送の第1話は世帯平均視聴率10.3%(個人全体視聴率5.7%)という数字で、二桁スタートの好発進となっていた。
(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)
■王道だが “食傷気味なマンネリキャラ” でもある
第1話中盤、拉致監禁されていた要人救出のため、暴力団の事務所に「アバランチ」4人が乗り込むシーン。綾野演じる主人公はときにヘラヘラと笑いながら暴力団構成員を次々と殴り倒していく。
そしてなんと、日本刀を持って襲い掛かってくる屈強な敵に対しては、「ハンデやるよ」とボールペン1本で応戦。刀を振り回す敵をいなしながら、飄々とした笑みを浮かべて相手の腕やわき腹、太ももにブスブスとボールペンを刺していくのだ。
綾野は、暴力行為や自身の命の危機さえもスリリングだと楽しんでいるような、危うい主人公を好演しているのである。
ただ、何を考えているかわからない暴力的かつ狂気的なこういったキャラは、映画『GANTZ』(2011年)や映画『亜人』(2017年)などで、綾野はこれまでに何度も演じてきている。言わば彼にとって伝家の宝刀。
そのため意地悪な見方をすれば、綾野としては高評価が約束されているような安パイな役どころとも言えるだろう。
綾野のひとつ前のドラマ主演作と言えば、今年4月期に石原さとみとダブル主演した恋愛ドラマ『恋はDeepに』(日本テレビ系)。
この作品の綾野はツンデレ御曹司役で、キュンキュンのラブストーリーを演じていたものの視聴率的に伸び悩み、一部視聴者からは “綾野剛のムダ遣い”“綾野剛のコレジャナイ感がすごい” といった酷評があがっていた。
とは言え綾野の立場から考えれば、『恋はDeepに』は今までの自分のイメージを打破し、役の幅を広げるための作品だったとも言える。結果、成功とは言いづらい作品になってしまったが、そのチャレンジングな姿勢は評価できた。
一方、『アバランチ』の綾野はよく言えば “安定と信頼の王道キャラ”、悪く言えば “食傷気味なマンネリキャラ”。手堅くヒットを狙いに来たという印象がある。
もちろん、綾野の役者としての実力と実績があってこその伝家の宝刀を、存分に使うことは悪いことではない。そしてセオリーに則って手堅く当てにいったからといって、簡単にヒットさせられるほどドラマ業界は甘くないだろうから、新設枠で視聴率二桁発進させたのは素晴らしいことだ。
いずれにしても初回の視聴率が好調だったことや、SNSなどの視聴者たちの声に好意的なものが多かったことから、このまま順調にスマッシュヒット作になりそうな予感。少なくても回を追うごとに視聴率がどんどん右肩下がりになるといった、大崩れする可能性は低そうだ。
ちなみに綾野のドラマデビュー作が、『仮面ライダー555』(2003年/テレビ朝日系)の怪人役だったことは有名な話だが、今作で2番手キャストに名を連ねる福士蒼汰は、『仮面ライダーフォーゼ』(2011年/テレビ朝日系)の主人公ライダーだった。また3番手キャストの千葉雄大は『天装戦隊ゴセイジャー』(2010年/テレビ朝日系)のレッド役。
脇役の怪人からのし上がってきた綾野が、仮面ライダーと戦隊レッドを引き連れて主演しているというバックボーン自体にドラマ性を感じる作品でもある。
――綾野剛の真骨頂を見られ、彼の役者人生的なドラマ性も感じられる『アバランチ』、第2話は今夜放送だ。
●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中