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『和田家の男たち』相葉雅紀と段田安則の年齢差を越えた友情が “奇妙な面白さ” を放つ
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.11.05 11:00 最終更新日:2021.11.05 11:00
口は悪いが憎めない、そんな “愛すべきジジイ” がこのドラマを引っ張っている。
先週金曜に第2話が放送された相葉雅紀主演の『和田家の男たち』(テレビ朝日系)。
朝ドラ『ふたりっ子』(1996年/NHK)、『オードリー』(2000年/NHK)、大河ドラマ『功名が辻』(2006年/NHK)といった名作や、近年も『家売るオンナ』(2016年/日本テレビ)や『大恋愛~僕を忘れる君と』(2018年/TBS)といったヒット作を生み出している、大御所脚本家・大石静のオリジナル作品だ。
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疎遠になっていた息子、父、祖父の独身3人が同居し、毎日食卓を囲むという男だらけの異色のホームドラマ。主人公でネットニュース記者の息子・和田優(相葉)、テレビ局報道番組プロデューサーの父・和田秀平(佐々木蔵之介)、元新聞社社長で現在は論説委員の祖父・和田寛(段田安則)というマスコミ3世代の家族を描いている。
優はよく言えば温和で優しい性格だが、悪く言えば自分の芯がなくナヨナヨしたタイプのため、優だけで見ると物語を動かしていくバイタリティーに欠けるキャラに思える。
秀平はプロフェッショナルなテレビマンで、クールな大人なので、今のところ物語を掻き回すような面白いトラブルは起こしていない。
そのため本作において、物語を盛り上げる最重要なキーパーソンを担っているのが、愛すべきジジイである寛なのだ。
■血のつながらないほぼ他人だった孫とジジイ
実際、3人が同居することになったのは、寛が自宅で熱中症になって病院に運ばれたことがきっかけだったし、優がネットニュース記者の第一歩を踏み出せたのも、寛がすき焼きには牛乳を入れるべきと講釈を垂れたからだった。
この作品を俯瞰して見ると、ストーリーを面白く描き回してくれるのは、寛であることが多いのだ。
ここで優と寛の関係性について説明しておこう。優は母親の連れ子だったため秀平や寛と血のつながりはなく、しかも寛は、優が幼いころに数回会ったのみなので、第1話冒頭時点ではほぼ他人だった。
しかし一緒に暮らし始めると、事なかれ主義の優と頑固で偏屈な寛という正反対の2人が、意外にもウマが合っている様子。孫と祖父というより、歳の離れた友人同士のような関係性になっていき、それが実に面白いのである。
第1話では優が、失恋してシクシク泣いている寛を見てしまったことがきっかけで、恋バナに発展する。気を遣った優が積極的に詮索しないでいると、寛は「聞きたくもない顔で聞かれても話す気はない!」とふてくされる。
だが、「アンタの事情はどうなの? 女だよ、恋愛事情」と逆質問。優が3年ほど恋愛から遠ざかっていると話すと、「こういうことって、自分から言い出しにくいから、人に聞いてもらうと嬉しいだろう」と言いつつ肩を組む。
そして、「アンタがいてよかった。誰もいなければ1日泣いていただろう」と、ポロッと本音を漏らすのだ。ふだんは理屈っぽくめんどくさいジジイなのだが、ふとした瞬間、弱さをさらすところにかわいげがある。
第2話では、久しぶりの恋愛相手とうまくいかず落ち込んでいる優に対して、寛は「心配したりされたりするとオキシトシンが出るなぁ」とぶっきらぼうに言って去っていく。
優はオキシトシンの意味がわからずスマホで意味を調べると、 “しあわせホルモン” のことだとわかり、少し元気を取り戻すのだ。不器用な性格なのでストレートに励ますことはしないが、そういった寛の心遣いに優も視聴者もほっこりさせられる。
ちなみに第2話の序盤に、寛が別れた彼女との馴れ初めを優に語る回想シーンがあるのだが、そこで恋人役の草刈民代がビキニ姿を披露したことも話題に。56歳とは思えぬ美肌で、一見の価値ありの艶めかしさだった。
――本作は独特なテンポによるシニカルかつウィットに富んだ会話劇も魅力。10代・20代の若者向けというよりは、30代以上の大人層に刺さる作品だろう。気になる方は今夜放送の第3話からでも視聴してみてほしい。
●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中
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