『SUPER RICH』江口のりこの恋愛デレに “コレジャナイ感” を抱いて視聴者離脱か？

 

　斬新すぎる。いい意味か悪い意味かは人それぞれ捉え方が違うだろうが、『SUPER RICH』（フジテレビ系）はとにかく斬新なのである。

 

　電子書籍を手がけるベンチャー企業『スリースターブックス』のアラフォー女社長・氷河衛（江口のりこ）が、“幸せのカタチ＝スーパーリッチ” を手に入れるために奮闘する物語。

 

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　そして、衛の会社で働き、仕事面で支えつつ、恋のお相手となるのが春野優（赤楚衛二）だ。衛より一回りも年下である。

 

　バイプレイヤーとして活躍していた江口のりこをプライム帯の連ドラ主演に抜擢したのは驚きだったが、それが完全なお仕事ドラマだったら納得もできた。しかし本作は、お仕事ドラマでありつつも、恋愛ドラマとしての比重もかなり大きい。

 

　江口がモテモテのヒロインを演じる作品になるとは予想外も予想外。その意外性ある展開や、江口演じる主人公がデレるのがかわいいという視聴者もいるだろう。その感性を否定する気はない。

 

　だが、江口のりこという女優に求めていたのは“コレジャナイ”と感じている視聴者も少なくないだろう。筆者は後者だ。

 

■社内で主人公の江口に恋をするキャラが3人も

 

　先週放送の第7話では、『スリースターブックス』に大きな危機が訪れ、お仕事ものとしてのストーリーが進行しつつ、優が衛にプロポーズするなど、2人のイチャこらするシーンがふんだんに描かれた。

 

　序盤では、優が借金を返し終えたら結婚しましょうとセミプロポーズ。優が真剣であることを確信すると、彼の手をそっと握りはにかむ衛。優が「衛さん、もっかいチューしてもいいですか？」と尋ねると、「聞いてもうたらあかんやろ」と言いつつもデレデレ。

 

　無事借金を返し終わり、優は「結婚してください」と正式プロポーズするも、婚約指輪は金銭的に買えず。「いつか近いうちに絶対大きな指輪を渡しますから、衛さんの結婚相手として僕を予約させてください！」と切実に訴える優に、つい笑ってしまった衛はこう語りかける。

 

「もし結婚したいと思ってくれてるなら、一緒になろう。指輪がなくても、貯金がなくても」

 

　あくまで個人的な感想だが、若い男にうつつを抜かすような役柄は江口に似合わないし、おさまりが悪いと思う。しかも、衛に想いを寄せているのは優だけではないのである。

 

　会社の人事責任者で有能な部下である宮村空（町田啓太）も、衛をリスペクトしつつ恋心を抱いている。また、衛の昔からの友人で会社の財務責任者でもある今吉零子（中村ゆり）も、実は衛に恋愛感情を持っていることがわかった。

 

　少数精鋭のベンチャー企業で3人も衛のことを好いている状態というわけだ。

 

　それだけならまだしも、衛と優が結婚することを社内で発表した翌日、今吉は会社をやめることを衛に告げ、宮村は大手IT企業の取締役（松嶋菜々子）に密会するという不穏な動きを見せた。もちろんいろいろな事情があるのだろうが、衛への恋愛感情がその動きの大きな要因になっていたはず。

 

　お仕事ドラマとして面白いだけに、恋愛のもつれがお仕事パートに影響が出るのは残念に感じた。

 

　昨年放送の『半沢直樹』（TBS系）の国土交通大臣役が話題となり、大きく脚光を浴びた江口だが、筆者が江口を初認識したのは『時効警察』シリーズ（2006年～／テレビ朝日系）。表情が乏しく淡々とツッコミを入れる主人公の同僚警官役で、味のある名脇役だった。

 

　まさか『時効警察』のあの脇役が、フジテレビの連ドラで若いイケメン俳優に言い寄られてモテまくる主人公を演じる日が来るなんて、本当に想像の “そ” の字もしていなかった……。

 

――本作の世帯平均視聴率は、第1話は7.8％でスタートし、第2話から第6話までは7％台と6％台を行ったり来たりしていた。しかし、先週放送の第7話では、とうとう5.8％までダウンしている。（※ビデオリサーチ調べ／関東地区）

 

　恋愛要素を抑えめにしてお仕事ドラマ濃度を高めれば、少しは視聴率が戻ってくるように思うのだが。気になる第8話は今夜放送だ。

 

●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA！』などに寄稿中

 

写真・朝日新聞

 

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