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【坂本冬美のモゴモゴモゴ】わが故郷を歌った『紀ノ川』ふるさと大使に任命され、なぜかマグロの解体を

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.02.05 06:00 最終更新日:2022.02.05 06:00

【坂本冬美のモゴモゴモゴ】わが故郷を歌った『紀ノ川』ふるさと大使に任命され、なぜかマグロの解体を

「和歌山県ふるさと大使」としてマグロを解体

 

 和歌山県西牟婁郡(にしむろぐん)上富田(かみとんだ)町。

 

 那智の滝に近く、白浜はすぐそこ。山沿いを進んでいくと、熊野古道に繋がるというこの田舎町が、わたくし、坂本冬美誕生の地……ソフトボールに明け暮れ、恋に青春を燃やした、忘れがたき故郷です。

 

 特急の止まらない無人駅ですけど、山あり、川あり、隣町には海もあり。目を瞑ると、洗濯物のすぐ横に吊るされた、魚の干物が目に浮かびます(笑)。

 

 

 有吉佐和子さんの小説をモチーフに、初めて故郷・和歌山をテーマに作っていただいた作品が『紀ノ川』(2008年発売)でした。

 

 故郷を想って歌うというのは、やはりいつもとはどこかちょっと違っていて、懐かしくもあり、甘酸っぱくもあり、照れくさくもありで。

 

 同時に、ヒットしなかったらどうしようというプレッシャーも感じていたような気がします。歌ったのはいいけれど、イマイチだよね……なんて言われたら、目も当てられませんからね。

 

 おかげさまで、故郷・和歌山の方をはじめ、たくさんの方たちに愛していただき、「和歌山県ふるさと大使」第1号に任命していただくというご褒美までいただいてしまいました。

 

 大使として、初めて仰せつかったお仕事は……なんと、マグロの解体です。

 

 包丁を片手に、ねじり鉢巻き。目の前には、70kgはあろうかというマグロがデンと横たわっています。

 

「ここです。ここのところに包丁を当てて」
「えっ!? ここですか?」
「もうちょっと右です」
「はい、はい。ここですね」

 

 指示された場所に、「え~~~い」という掛け声とともに包丁をずぶり。記者の皆さんは、 “見事な包丁捌きを披露した” というような言葉で表現してくださいましたが、そこはまぁ、なんと言いますか、お決まりのようなもので……モゴモゴモゴ(笑)。

 

 わたしの包丁捌きはともかく、和歌山といえば黒潮。黒潮といえば、マグロ。みかんや梅干しも美味しいですけど、マグロも最高! 機会があったら、ぜひ、ご賞味ください。

 

■新曲発表会はジェロくん人気で大盛り上がり

 

 もうひとつ『紀ノ川』で思い出すのが、新曲発表会です。スタッフが考えに考えた末に、ここだ! と白羽の矢を立てたのは……東京・渋谷のタワーレコード。ふだんは、若い方で賑わっているCDショップです。

 

ーーおもしろいと思うけど、OKしてもらえるのかな?

 

 どう考えても、ミスマッチですから、半ば無理だろうなとは思っていました。

 

 でも、しかし、ところがです。当たって砕けるつもりでオファーを出したところ、「それはおもしろい!」と、二つ返事でOKしてくださって。ホント感謝、感謝です。

 

 当日は、飛ぶ鳥を落とすほどの人気を誇っていたジェロくんが駆けつけてくれて、もう大盛り上がりです。

 

 ジェロくんが見たい! という若い女性の方に交じり、お年を召したファンの方が、お店の前にずらりと列を作って。で、その光景を見た方が「なんだ、なんだ?」と興味を持ってくださり、列の後ろに並ぶという。いや、もう最高の新曲発表会になりました。

 

 ジェロくんとのご縁は、デビューのきっかけとなったのど自慢で、彼が歌ったのが『夜桜お七』だったという、ただそれだけだったのに、ずっとわたしのことを応援してくれて。客席から花束を持ってきてくれたこともありました。

 

 現在、ジェロくんは歌手としての活動を休止していますが、コロナが落ち着いたら、また一緒にご飯を食べに行きましょうね。

 

さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身 『祝い酒』『夜桜お七』など数多くのヒット曲を持ち、『また君に恋してる』は社会現象にもなった。桑田佳祐氏から届けられた『ブッダのように私は死んだ』のリリースによって生まれた「情念POPS」をセレクトして制作された最新コンセプトアルバム『Love Emotion』が好評発売中!

 

写真・中村功
構成・工藤晋

 

( 週刊FLASH 2022年2月15日号 )

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